【アルジェリア】裏切り者とさげすまれ日常的に「二重の差別」...60年、解決策見えぬ植民地の記憶 [朝一から閉店までφ★]

朝一から閉店までφ ★

2022年7月6日 12時00分

＜近くて遠い国・アルジェリア独立60年（中）＞

　「フランス人には忘れられ、アルジェリア人には憎まれ続けてきた私たちの姿が正しく描かれ、発信される貴重な機会だ」

　６月下旬に仏南部リヨンで開かれたある映画の試写会で、モハメド・ラベイ（６２）の喜ぶ姿があった。映画のタイトル「アルキ」は、独立戦争（１９５４～６２年）当時、仏軍側で母国の独立派と戦ったアルジェリア兵士を指す。アルキの父を持つラベイは、自助団体の幹部でもある。映画は今年のカンヌ国際映画祭でも上映された。
　ラベイに紹介された７０代後半のアルキの男性は取材に「アルジェリア政府に目を付けられるから」と匿名を望んだ。

　独立戦争の最中、独立派兵士らが深夜に自宅へ押しかけ、仏軍に協力していた父が目の前で拉致された。父は後に殺害されたと分かり、男性はあだ討ちのために志願して仏軍兵になった。しかし１０万人以上とされるアルキを標的にした虐殺が激化する中、独立直前に辛くもフランスへ渡った。
　仏政府からあてがわれた住宅は貧民街にあった。住人はアルキではないアルジェリア移民ばかり。「裏切り者」とさげすまれ、仏人からは「汚いアラブ人」とののしられた。男性は「日常的に『二重の差別』を受け続けた」と振り返る。
　独立から６０年の今も男性は「アルジェリア系移民とは接触を避けている」。心を許せるのはアルキの戦友のほかに、「ピエ・ノワール（黒い足）」と呼ばれる仏人の元入植者だけだ。
　そのピエ・ノワールには独立派の襲撃で家族を失った人や現地で築いた資産を失って引き揚げた人も多い。２０歳まで現地に滞在したピエ・ノワールのジャン・モネレ（８２）は「アルジェリアの土地には愛着を持ちながら、アルジェリア人に対しては複雑な思いを持つ人たちもいる」と話す。
　仏大統領マクロン（４４）は初当選前の２０１７年、植民地化について「人道に対する罪」と発言しアルジェリア人の共感を得たが、アルキやピエ・ノワールは猛反発した。先のアルキの男性は「マクロンも他の政治家も同じだ」と非難し、アルキ支援を掲げる極右政党「国民連合」を支持する。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/187779

【アルジェリア】 裏切り者とさげすまれ日常的に「二重の差別」...60年、解決策見えぬ植民地の記憶 [朝一から閉店までφ★]

【アルジェリア】裏切り者とさげすまれ日常的に「二重の差別」...60年、解決策見えぬ植民地の記憶 [朝一から閉店までφ★]