「濃厚接触」を保育所が特定、横浜市が通知　現場任せに不安と戸惑い「専門家じゃないのに…」 [蚤の市★]

蚤の市 ★

　新型コロナウイルスの感染急拡大で保育所や学校の休園・休校が相次ぐ中、医療従事者ら「エッセンシャルワーカー」が子どもの預け先を失って出勤できない事態を解消するため、横浜市は保育所で感染者が出た場合、施設ごとに濃厚接触者を特定するよう通知を出した。逼迫ひっぱくする保健所業務の一部を現場に委ねることで休園を長引かせず、社会機能を維持する狙い。同様に、市立学校では休校や学年閉鎖は行わず、原則学級閉鎖で対応する方針に切り替えた。（丸山耀平）
　市によると、一月十八?三十一日に患者の救急搬送を断った四十七病院に理由を尋ねた結果、回答があった三十七病院のうち１６％で、医療従事者が子どもの保育所の臨時休園などで出勤できず、人手不足になっていた。
　市が一日付で出した通知によると、時限的な措置として、感染者が出た場合、「感染可能性がある方」の特定と市への報告を保育所に求めた。基準は保健所が認定する濃厚接触者の定義に準じ、手が触れる距離で必要な感染予防策なしで患者と十五分以上の接触があった人など。最終判断は市が行う。
　市の担当者は「感染者が出たら休園し、保健所の調査を経て一部で保育再開をしていたが、今は保健所の業務逼迫で調査が滞っている。休園が続くと社会活動を止めてしまう」と通知を出した理由を説明する。市によると、一月に一日以上休園した保育所は延べ四百八十一園で、昨年十二月の六園から急増した。同様の通知は札幌市などが出しているが、県内の自治体では初めて。
　市立学校ではこれまで一学級に二人以上の感染者が出た場合に学級閉鎖、一学年に二クラス以上の学級閉鎖が出たら学年閉鎖、一校に二学年以上の学年閉鎖が出たら休校としていたが、一月二十八日から、学級閉鎖基準を維持したまま、学年閉鎖や休校を原則行わないことにした。
　このほか、市は二月十四日の週から、エッセンシャルワーカーへの対応として保育所などに抗原検査キット六十万個を確保し、医療機関や保育所、学校への配布を強化するとした。
　山中竹春市長は四日、取材に対し「社会を止めない、混乱させない対応を取るとともにワクチン接種を早く届け、コロナからの回復を目指したい」と述べた。
◆「基準があいまいで不安が倍増」
　感染者が出た場合、周囲の感染の可能性について現場で判断を求められる保育士らは、背景に理解も示しつつ、「基準があいまいで不安が倍増する」と戸惑いをにじませる。
　横浜市旭区の三ツ境たんぽぽ保育園。四日時点で園内に感染者は出ていないが、家族が感染した職員や園児が出たため、接触した可能性がある保育士や園児の名前を書き出すなどした。市の基準には「広い空間」「マスクをきちんと着用」などの表現が含まれており、感染の可能性があるかどうか、個別の判断が必要となる。
　主任保育士の杉山法子さん（５８）は「私たちは専門家じゃないので、不安が倍増している」と漏らす。「コロナ禍で保護者とのコミュニケーションが不足している中、（感染の可能性について）保護者に連絡したら、関係がギクシャクしてしまう可能性もある。専門家に判断してもらいたい」
　抗原検査キットが不足する現状にも懸念を募らせる。市はエッセンシャルワーカーへの対応として、保育所などにキットを配布しているが、現在の対象は休園になった場合のみ。同園の紺野のぞみ施設長（６０）は「検査キットは手に入らず、無症状だと検査もなかなか受けられない。自分が健康な状態で仕事できているか、職員はみんな不安」と実感を込める。「保育園は感染リスクの高い場所。施設に丸投げせず、ＰＣＲ検査や抗原検査キットの配布など、行政にきちんと対応してほしい」と求めた。

東京新聞　2022年2月5日 07時14分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/158356

「濃厚接触」を保育所が特定、横浜市が通知 現場任せに不安と戸惑い「専門家じゃないのに…」 [蚤の市★]

「濃厚接触」を保育所が特定、横浜市が通知　現場任せに不安と戸惑い「専門家じゃないのに…」 [蚤の市★]