感染した妊婦が出産退院まで赤ちゃんと会えず（鹿児島） [蚤の市★]

蚤の市 ★

感染した妊婦が出産退院まで赤ちゃんと会えず　産婦人科医「人間らしい温かい出産させてあげたい」　新型コロナ・鹿児島

　新型コロナウイルスに感染した千葉県の妊婦が入院できず、自宅で早産し赤ちゃんが死亡したニュースは社会に衝撃を与えた。爆発的な感染が広がる鹿児島県内でも不安を抱える妊婦は少なくない。お産はどう行われ、医療提供体制に問題はないのか。感染者の出産に携わった鹿児島市立病院の上塘正人・総合周産期母子医療センター産婦人科部長に聞いた。

　－感染者の出産状況や受け入れ体制は。
　「通常の出産では、いきんだり大声が出ることで、細かい飛沫（ひまつ）が散ってしまい感染のリスクが高まる。そのため、帝王切開での出産になることが多い。県内では各地域の中核となる公的病院で受け入れている」

　－市立病院での出産例は。
　「８月までに４例あり、県内初のケースは自院で２０２０年１２月にあった。家庭内感染した妊婦で、妊娠から３７週以降が経過していた。入院した翌日に陣痛が始まり、帝王切開を行った。かなり動揺していたが、助産師が懸命に励ました」

　－出産後の対応は。
　「母親は出産後すぐに感染者用病棟に移動し、赤ちゃんは新生児センターに入った。いつもは生まれた直後、赤ちゃんに最初に触れるのは母親と決めているが、感染リスクもありできなかった。赤ちゃんと母親は退院の日まで会えなかった。人間らしい『温かい出産』をさせてあげられないことは悲しい。母子感染はなかった」

　－県内でデルタ株が猛威を奮っている。
　「赤ちゃんへはうつりにくいと言われており母子感染はまれ。ただ、デルタ株は子どもや新生児が感染し、発症する例が多くみられる。お母さんがワクチンを打つことによって抗体を胎内の赤ちゃんにあげることができる。既に院内では妊娠を予定している人はもちろん妊娠中のスタッフも多く接種している」

　－１７日には自宅療養中の妊婦が出産し、赤ちゃんが亡くなったケースが報道された。
　「信じられなかった。ただ、自院でも報道から数日たって病床が埋まり、１日自宅待機になってしまった妊婦がいた。症状が出たらどうしようかと一晩中頭から離れなかった」

　「これ以上の感染拡大が続くと、県内でも入院が必要な中等症の妊婦の行き場がなくなる可能性がある。市立病院は専用病床を４２床に増床したが妊婦以外の受け入れも多い。県内５カ所ある地域周産期医療センターと連携し、より多くの妊産婦を受け入れる体制を作らなければならない」

■かみとも・まさと　１９６０年７月、鹿児島市出身。８６年鹿児島大学医学部を卒業、９４年から鹿児島市立病院産婦人科、２０１４年４月から同職。日本産科婦人科学会専門研修指導医。

南日本新聞 2021/08/29 12:33
https://373news.com/_news/storyid/142765/

感染した妊婦が出産 退院まで赤ちゃんと会えず（鹿児島） [蚤の市★]

感染した妊婦が出産退院まで赤ちゃんと会えず（鹿児島） [蚤の市★]