【港区保健所】「夜まで息つくひまない」感染者急増で業務逼迫 [蚤の市★]

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＜保健所最前線＞「夜まで息つくひまない」感染者急増で業務逼迫　港区みなと保健所所長に聞く

　新型コロナウイルスの「第５波」による感染者急増で、患者の入院先を探したり、感染経路の調査などを行う各地の保健所でも業務の逼迫が深刻化している。東京都港区みなと保健所の松本加代所長（５２）に厳しい現状を聞いた。
◆入院・療養先、重症でなければ見つからず
　「熱が続く」「具合が悪い」―。東京五輪閉幕後の平日の朝、同保健所には区民から相談の電話が絶え間なくかかってきていた。松本氏は「毎日ものすごい業務量。夜まで息つくひまもありません」と話す。
　現在、医療機関から１日に送られてくる感染者の発生届は２００件ほど。「第３波で最も過酷だった」（松本氏）という１月のピーク時の、すでに２倍に上る。職員が、症状の重い人から順に電話で症状を聞き取り。入院・療養先を探して振り分けるが、重症でなければすぐには見つからない。家族が濃厚接触者であれば検査の案内もする。
◆体制大幅増員でも「ぎりぎり」
　自宅療養中の体調の悪い患者には毎日、健康状態の問い合わせをし、体調が急変すれば、地域の病院に受け入れを頼み込む。夜間は東京消防庁が救急要請を受けたコロナ患者の入院調整にも関わり「電話当番の職員は寝られないことも多い」という。

　第３波で５０人に倍増させた体制は現在、８０人体制にまで強化。それでも負担は軽くならず「うちはぎりぎり回っているが、これ以上は無理。人口の多い自治体の保健所からは『自宅療養者の体調悪化が相次いで、パンクしかねない』との声も聞く」と明かした。
◆20～40代の家庭感染目立つ
　ワクチン接種により高齢者の感染こそ減ったが、区内の新規感染者の９割は未接種だ。２０～４０代が感染し、家庭に持ち込んで広げている事例が目立つ。松本氏は「若い世代へのワクチン接種促進が急務だが、『面倒』や『無関心』などで難しい。接種を受けた人が得する仕組みなどを考えないと」と提案する。
　都内では、新規感染者数も重症者数も過去最多を更新し続けている。松本氏は、体調が悪化しかねない自宅療養者の激増にふれ、都には「肺炎で呼吸困難になった人に、酸素吸入などの対応をする一時的な待機場所を都内にもっと整備することや、自宅療養ができる往診体制の充実が必要」と求める。「今後、第５波の増加ペースが緩んでも、しばらくは高止まりするだろう。行政や地域の医療などで知恵を出し合い乗り切りたい」と意を決するように話した。（小倉貞俊）

東京新聞　2021年8月17日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/124810