【社会】美容師と話すのが苦手でも大丈夫…「オタク向け」専門店の最新事情 [七波羅探題★]

七波羅探題 ★

ダイヤモンド・オンライン2021.7.9 20:30
https://diamond.jp/articles/-/274744

近年、アニメやゲーム、アイドルに熱中する「オタク」をターゲットにした専門店が増えている。業態もさまざまで、婚活サロンや花屋のほか、ファッション・ビューティー系も多い。こうした店は巧みにオタク心理を突いたサービスを提供し、好調な売り上げを見せている。「オタク向け」として経営している店に話を聞いた。

●美容師との会話が苦手でも快適に過ごせる美容院
まず話を聞いたのは、オタク向け美容院の「OFF-KAi!!」だ。2016年、秋葉原に1号店をオープンし、現在は池袋と大阪にも店を構えている。

秋葉原といえば、「男性オタクの聖地」というイメージがあるが、同店はまさに男性のオタク層をターゲットに開業したそうだ。OFF-KAi!!を経営する、株式会社lushtree代表取締役の茂木賢太氏は、開業の経緯をこう語る。

「自分自身も“オタク”なので共感できるのですが、オタク男性って美容院に苦手意識を持っている人が多いんです。特に多いのが『美容師と何を話したらいいかが分からない』という声。そこで、オタク男性が施術中にアニメや漫画の話ができる『オタク向け美容院』があったら安心して通ってもらえるのではと思い、出店を計画しました」

オシャレに興味がないわけではないが、美容院は緊張する……。同店は、そうした思いから美容院へ行くことをちゅうちょしてしまう人でも行きやすいよう、「オタクが安心できる」という点にフォーカスした店作りがされている。

「従業員は全員オタクなので、施術中、店員とオタクトークに花を咲かせているお客様がほとんどです。なかには、店員と会話をするより、漫画を読んだりアニメを見たりして静かに過ごしたいというお客様もいるので、そうしたニーズにも対応しています」（茂木氏）

店内にある「しゃべりたくない；Gate」というゲートをくぐって席に着けば、店員が施術に関する話以外で話しかけてくることもないという。オタクに限らず、落ち着いた空間でヘアーカットされたいと望む人にも適したサービスだ。

「接客面でも技術面でもオタクの要望を抑えているので、ありがたいことにリピート率も高いです。美容院デビューに当店を利用し、その後、リピーターになってくださるお客様が大変多くいらっしゃいますね」（茂木氏）

オーダーの際も「○○（キャラの名前）と同じ髪色にしてほしい」という客の要望に対し、「アニメ版の色みか、それとも原作の漫画版の色みかを聞き、より希望に近づけるようにと提案をすることもあります」（茂木氏）とのこと。豊富な知識により、単に「アニメやゲームの話ができる美容院」というだけにとどまらない高いホスピタリティーが発揮されているのだ。

●イメージコンサルティングサロンやオタク女性専門の婚活サロンも
池袋にある「characolo」は、自分に似合う色が分かるパーソナルカラー診断のほか、骨格診断、顔タイプ診断、メークレッスンなども行うイメージコンサルティング（以下、イメコン）サロンだ。こちらも主宰の前田未希氏をはじめ、所属するスタッフ全員が“オタク”だという。

「最近のオタク女性は、『“推し”のためにきれいになりたい』という人が多く、イメコンへの興味も高まってきています。イベントやライブの前に推しカラーのファッションやメークの相談にいらっしゃる人も多いですし、時折コスプレ衣裳やウィッグの相談を受けることもありますね」

気兼ねなく趣味に関する質問ができるサロンはオタク女性たちの心をつかんでおり、1カ月分の予約が始まると、5分ほどで満席になる日が続出するほど申し込みが殺到するそうだ。

「お客様はほぼ全員『“推し”のパーソナルカラーも教えてほしい』とおっしゃるので、予約時にあらかじめお好きなアニメやゲームをお聞きし、各カラータイプの特徴も、お客様の好きな作品のキャラで説明しています。そのため、お客様は、自分と同じ作品を好み、よりマニアックな話ができるスタッフを指名したがる人が多いです。各スタッフの好きなジャンルを知ってもらうためにも、全スタッフにツイッターアカウントを作ってもらい、積極的に発信するようにお願いしています」

また、イメコンは一度診断結果が判明すれば、同じ診断をリピートすることがほとんどない業態だ。そのため、別の診断を勧めたり、新規顧客を獲得することが重要になってくる。

「集客のためにも、ツイッターでは来店後のお客様の感想や、スタッフの日々のツイートを頻繁にリツイートし、『うちはこういうサロンで、こういうオタクがいます！』とアピールしています」（前田氏）
(以下リンク先で)