【人手不足】「コロナワクチン接種」が1年では終わらないと言い切れる理由 [影のたけし軍団★]

影のたけし軍団 ★

4月12日から、高齢者向け新型コロナウイルスワクチン（以降ワクチン）の接種が始まった。
4月から5月中旬の間に配布されるワクチンは3600万人いる高齢者の内の約9％にすぎず、本格的な接種が始まるのは、5月10日以降になる。

同時期に全国一斉にワクチンを接種させるのは、国や地方自治体にとって世紀の大事業である。
だが、医療従事者の人手不足などにより、計画通りに進まない可能性が高い。

厚生労働省は、労働者派遣法の政令を改正し、今月から過疎地域に限って看護師の派遣を認めた。
さらに全国知事会は、政府に対し「過疎地域以外も派遣を可能にするように」という緊急提言を行っている。

どうして急に看護師の派遣を自由にしなければならないかというと、
それは「新型コロナウイルスワクチン（以降ワクチン）の接種会場での看護師が不足している」からである。

厚労省は、開設される予定の全国の4万カ所以上のワクチン接種会場で、人員が充足しているかどうかを調査している（3月25日時点）。
その結果、集団接種会場も個別接種会場も、充足していると回答したのは、半分にも満たなかったのだ。

接種会場で必要な医療関係者は、医師、看護師である。
では、なぜ医師ではなく看護師が不足しているのかというと、接種会場では医師より看護師の方が多く必要になるからだ。

厚労省の「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き（2.2版）」の集団接種会場の具体的イメージでは、
1会場2列体制で、予診に医師2人、接種に看護師2人、薬液充填・接種補助に看護師2人、接種後の状態観察に看護師1人を想定している。

合計、医師2人、看護師5人が必要になる。この想定では、1会場1日280人しか接種できない。2倍の560人に接種しようとすると医師4人、看護師10人が必要になるのだ。
しかし多くの自治体では、応援を要請する地域の病院や診療所でも、通常診療と並行して集団接種や個別接種が行われる。人手不足が起きるのは当然である。

国のワクチン接種期間は、2021年2月17日から22年2月28日までの約1年間の予定である。2月中旬から医療従事者への接種が始まり、
4月からは高齢者向けが始まったが、その後のワクチンの手配が未定のため、一般者への接種時期は今のところ分かっていない。

しかし、1年間で全国民（あるいは8割以上）への接種は完了しそうにもない。最大のネックは、人手不足と1人2回の接種が必要なことだ。

集団接種会場に、医師2人、看護師5人、それ以外に事務員4～5人を配置するということは、診療所を1カ所設置することに匹敵する。
集団接種の特設会場は1万7000カ所以上設置されるので、診療所が全国に1万7000カ所同時に開設されるようなものだ。

しかも、土日も休むことなくワクチン接種をするのだ。看護師の移動を自由にしたところで、そもそも看護師が足りないのだから、
接種会場に派遣すれば、派遣元の診療所や病院が看護師不足になるだけである。

一方、2回接種も大きな負担だ。厚労省が想定している1会場で1日280人接種できる場合、3週間後からは1回目の接種者140人と2回目の140人を、
同日に接種しなければならない。そのためには、最初の3週間を毎日140人に設定しなければ、3週間目からは1回目と2回目の人を同時に接種することができなくなる。

比較的スムーズにできると思われていた医療従事者への接種は、2月17日から始まったが、2カ月後の4月9日時点で、1回目が約110万人、2回目が49万人である。
1回目ですら対象者約480万人の約22％しか接種できていないのだ。

高齢者向けの接種が始まるまでには、2回の接種が完了するはずだったが、医療従事者ですらいつまでに完了できるのか見込みが立っていない状況である。

高齢者の後には、高齢者の2倍の人数の一般者の接種（約7200万人×2回＝1億4400万回）が控えている。
おそらく多くの自治体では10月頃しか始められないだろう。さらに、12～15歳も接種対象になる可能性が高い。

高齢者の接種に4～5カ月かかるなら、一般者は10カ月程度かかる。1年では到底終わりそうにもない。

ほとんどの国民が接種し終わるのは、来年の夏ごろではないだろうか。
https://diamond.jp/articles/-/269305#:~:text=%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3

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