【ありがとう】警視庁で「生きものがかり」３０年、動物事件の捜査秘話が児童書に…ベテラン警部が退職へ [朝一から閉店までφ★]

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2021/03/29 07:02
　警視庁の「生きものがかり」と呼ばれ、希少動植物の密輸・密売事件の専門捜査員として約３０年にわたって活躍してきたベテラン警部、福原秀一郎さん（６５）が３月末に退職する。昨年１０月には自身の捜査秘話などをまとめた児童書も出版された。福原さんは「自分は一線を退くが、本を通じて生きものがかりの仕事が多くの人に知られ、動植物保全への理解が深まる一助になれば」と話している。

　鹿児島県鹿屋市出身。刑事ドラマ「太陽にほえろ！」に憧れ、１９８０年に警視庁に入庁した。「刑事としての得意技はなんだろう」と悩んでいた警察署勤務時代、自宅で飼っていた魚の餌を買いに熱帯魚店に足を運ぶと、商取引が規制されている大型淡水魚「アジアアロワナ」を発見。店への張り込みを続け、密売業者の摘発につなげた。

　「たかが生き物」「刑事の仕事じゃない」と同僚から陰口をたたかれることもあったが、その後も絶滅寸前のカメやサル、昆虫や花など様々な生き物が絡む事件に携わってきた。２０１４年には希少動植物に関する捜査で全国で初めての「警察庁指定広域技能指導官」に認定された。

　昨年１０月、童話作家のたけたにちほみさんが、福原さんに取材してまとめた児童書「消えたレッサーパンダを追え！　警視庁『生きもの係』事件簿」（学研プラス）が出版された。本では、千葉県の動物園で起きたレッサーパンダの盗難事件、タイから密輸された絶滅の恐れがあるコツメカワウソの動物カフェへの密売事件など、福原さんが手掛けた６事件を紹介。捜査員の苦労話だけでなく、捜査に協力する動物園や自然保護団体の取り組みにも触れている。

　福原さんは「生き物は地球の財産。それを守るのも警察の大切な仕事だと信じてきた。苦労も多かったが、一つでも多くの生き物の命を救えたのなら、警察官冥利(みょうり)に尽きる」と笑顔で語った。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210327-OYT1T50299/