【コロナ不況】風俗従業員女性が万引き逮捕…コロナ弱者に浴びせられる心なき声 [砂漠のマスカレード★]

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「コロナで給料が少なくなって……」。これは岐阜県岐南町の２４時間営業のスーパーで万引をして、２月１４日に警察に逮捕された３０歳の風俗嬢の供述だ。女性はガスカートリッジやイチゴなど６０００円相当の品物を盗もうとして捕まった。

　コロナ禍による収入減に苦しんでいるのは風俗嬢だけではない。観光業やエンタメ業界が受けているダメージは大きく、派遣労働者の解雇・雇い止めも社会問題になっている。時短営業の補償を受けている飲食店も経営が厳しく、昨年はすし店の倒産が５年ぶりに増加。だから、逮捕された風俗嬢の「コロナで給料が減った」というのは万引を正当化する理由にはならない。

　ただ、今回のニュースに対するネットの投稿欄を見ると、〈この風俗嬢、確定申告してたのかね？　税金も払わず稼げなくなったから窃盗なんて同情の余地はない〉〈ちゃんと貯金しておけばよかったのに〉といった厳しい意見が目立つ。たしかにおっしゃる通りかもしれないが、この国はいつからここまで非寛容な社会になってしまったのだろう。

■新自由主義路線で形成された弱肉強食社会

「新型コロナと貧困女子」（宝島社新書）の著書があるノンフィクション作家の中村淳彦氏に話を聞いた。

「日本は平成の新自由主義路線で徹底した“弱肉強食”の階層社会が形成されました。その被害者とも言うべき存在が女性で、男女の賃金格差を見れば日本社会における男尊女卑、男性優位は明らかです。平成に起こった日本の貧困化は女性が風俗に身を落とし、男性が女性の肉体を貪ることで再分配が許され、経済が何とか回っていました。それなのに、昭和から引きずる風俗嬢への偏見や差別は今も根強く残っています。だから今回みたいな事件があると、平気で容赦のない言葉が浴びせられるのだと思います」

　実際、厚労省の「賃金構造基本統計調査」によると、２０１９年の一般労働者の所定内給与（月額）の全国平均は男性３３万８０００円に対し、女性は２５万１０００円と大きな開きがある。さらにそもそも、風俗嬢に“正論”を吐くこと自体がおかしいと中村淳彦氏は指摘する。

「１０年以上前から風俗業界はデフレが加速し、カラダを売っても貧困が解決せずギリギリの生活を強いられている女性が急増しています。稼いで貯金するなんて、売り上げが上位の一部の女性にしかできません。確定申告ができない風俗嬢がいるのも同様の構図です。今回のコロナ禍では収入の税の申告をしていなかったため、収入の証明ができず、社会福祉協議会の緊急小口資金貸付の融資を受けられない風俗嬢がたくさんいました」

　今回のコロナ禍は貧困女性の最後のセーフティーネットも破壊した。女性たちが森喜朗氏の女性蔑視発言に激怒したのは当然のことだった。

2/26(金) 9:06
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210226-00000016-nkgendai-life