【大統領選】バイデン氏、トランプの米国製品を優先する「バイ・アメリカン」さらに強化へ [雷★]

雷 ★

バイデン氏、就任直後に政策転換へ　パリ協定復帰など
就任から10日間で多数の大統領令
バイデン次期政権

2021年1月17日 9:22 (2021年1月17日 18:31更新)

バイデン米次期大統領は就任早々にコロナなどの複合危機に対処する姿勢をアピールする=ロイター
【ワシントン=中村亮】バイデン米次期大統領は20日の就任から10日間で多数の大統領令に署名する。国際的な気候変動対策の枠組み「パリ協定」に復帰し、イスラム諸国からの入国制限を破棄する。トランプ大統領の政策を大幅に転換し、米国が直面する複合危機に就任早々、対処する姿勢をアピールする。

クレイン次期大統領首席補佐官が16日、ホワイトハウス高官に就く関係者に送った「最初10日間の概要」と題したメモで明らかにした。就任当初に重視する政策領域として新型コロナウイルスや経済、気候変動、人種の4分野を挙げた。

就任当日の20日には大統領令などを通じて10以上の政策を打ち出す。「パリ協定」復帰とイスラム諸国からの入国制限破棄のほか、米紙ニューヨーク・タイムズによると、学生ローンの猶予延長や、家賃を支払えなくなった人の立ち退き制限の延長も指示する。新型コロナによる経済困窮を和らげる狙いだ。

州をまたいで移動する際などにマスク着用を義務付けるほか、離ればなれになった不法移民の親子を再会させるための方策を練るよう関係機関に指示する。いずれの大統領令も、トランプ政権の政策を覆す内容だ。バイデン氏は大統領就任の初日に政策転換を印象づけ、トランプ政権との違いを際立たせる狙いだ。

21日からも新たな政策を矢継ぎ早に打ち出す。新型コロナの感染拡大の阻止に加えて、学校や企業の再開に向けた対策を講じる。新型コロナの打撃を受ける労働者層への経済支援を関係省庁に指示する。

社会保障分野では低所得の女性などの医療保険加入を促す措置も実施する。有色人種などのコミュニティーへの支援拡充も打ち出す。

一方、トランプ政権と同様、政府調達で米国製品を優先する「バイ・アメリカン」は強化する。

クレイン氏はメモで「これらの行動はもちろん我々の仕事の始まりにすぎない」と指摘した。米国が直面する複合危機の克服に向けて追加措置を検討していく姿勢を示した。

新大統領が就任初日、10以上の大統領令に署名するのは極めて異例だ。米紙ワシントン・ポストは「（トランプ氏の支持者らによる米議会の）占拠事件などが米国史に刻んだ暗い部分に幕を下ろし、前任者（トランプ氏）の影響を早期に消し去りたいとするバイデン氏の願望のあらわれだ」と指摘した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN170DJ0X10C21A1000000