保護司、担い手不足深刻　新型コロナ影響　相次ぐ研修・集会中止　北海道 [蚤の市★]

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　刑務所からの仮釈放者や保護観察中の少年の社会復帰を地域で支援する保護司の不足が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で深刻化している。平均年齢６５歳と高齢化が進む中、活動への理解を深める研修や集会の中止が相次ぎ、現役世代の募集が困難になっている。高齢の保護司は重症化のリスクが高く、少年たちとの面接も減少するなどコロナ禍が更生保護の現場に暗い影を落としている。【真貝恒平】

　「高齢化と担い手不足は慢性的に続いている」。札幌保護観察所の五十嵐則夫企画調整課長（５８）は表情を曇らせる。保護司の活動はボランティアで仕事との両立が難しいことなどから成り手が少なく、いったん委嘱された人が２年の任期を迎えた後に再任を繰り返すケースが多い。７６歳未満であれば再任が可能なため、世代交代が進まない。

　同観察所によると、管内の保護司は４月時点で定員１４３５人に対し１２３１人で、充足率は８６％。道内各地の観察所でも定員割れの状況にある。そこへコロナ禍が追い打ちを掛けた。

　保護司になろうと考えている人を対象にした研修会が中止となり、犯罪や非行のない社会を目指す全国的活動「社会を明るくする運動」の集会なども各地で中止に追い込まれた。同管内の保護司は１２月までの約８カ月間で約２０人減った。五十嵐課長は「保護司をＰＲする場が減ったのも一因では」と推測する。

　保護司にとって重要な仮釈放者や少年たちとの面接にも影響は及ぶ。手稲区保護司会の岡本和輝会長（７６）は「感染防止の観点から電話やＳＮＳ（ネット交流サービス）でのやり取りが多くなった」。同会に所属する保護司３２人の多くは高齢者で、感染すれば重症化するリスクが高い。

　一方で、机の中央にアクリル板を設置するなど感染防止策をとりながら面接することもある。岡本会長は「直接会って話をするのが保護司」と強調する。手稲区役所の一室に設けられた更生保護サポートセンターを拠点に約２０人の更生に向け手を緩めない。

　岡本会長は昨年、最後の任期を更新した。しかし、もう１期（２年）務めることができる「特例再任保護司」の制度が来年４月から実施されることを受け、保護司を続けるという。「（保護司の）勧誘の機会も減り、担い手不足は続くが、役割を理解してもらえる活動をしたい」と力を込める。

　新任保護司の確保や育成を目的とした冊子「新任保護司のための手引書」を作成した岡本会長。「保護司はとても奥の深いボランティアだと伝えていきたい」と笑顔を見せる。冊子は今後の研修会などで配布する予定だ。

　法務省が１１月に公表した「２０２０年版犯罪白書」によると、全国の刑法犯認知件数は１９年、７４万８５５９件で戦後最少を更新した。一方、再犯率は１９９７年から１８年まで上昇の一途をたどる。１９年は前年比４９％と微減したが、依然として高い水準にある。

　名寄市立大の佐藤みゆき教授（司法福祉専門）は「再犯防止に関し、保護司が地域で果たす役割は大きい」と指摘した上で「大学の講義で保護司のＰＲビデオを放映すると、関心を示す学生は多い。現役世代を含めた若い世代に保護司の存在意義を周知するような取り組みが更に必要だ」と話している。

保護司
　保護司法に基づき、法相から委嘱された非常勤の国家公務員。刑務所からの仮出所者や少年院の仮退院者、保護観察付きの執行猶予判決確定者らと定期的に面接しながら更生を手助けする。必要経費を除き無給で活動し、定年退

毎日新聞2020年12月18日 13時22分(最終更新 12月18日 13時22分)
https://mainichi.jp/articles/20201218/k00/00m/040/101000c

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