中国にLNG　西部ガス輸出　単独、国内ガス大手では初 [蚤の市★]

蚤の市 ★

　西部ガス（福岡市）が今冬にも、中国向けの液化天然ガス（LNG）輸出事業に乗り出すことが分かった。国内の大手ガス会社では初めて。国内のガス事業は、人口減少による市場縮小やガス小売り自由化で競争環境が厳しくなっており、海外市場での売り上げ拡大を目指す。

　東南アジアなどから調達したLNGを、同社の「ひびきLNG基地」（北九州市若松区）で専用コンテナに充填（じゅうてん）し、近接するひびきコンテナターミナルでコンテナ船に積み中国に運ぶ。本年度中に一定量を輸出し、2021年4月以降は供給先との年間契約を目指す。同基地には輸出用の供給余力が年間約20万トン分あり、新規投資は不要という。

　輸出先は中国内陸部の工場などを想定する。同国には国営LNG基地が複数あるが、ガス供給管が通っていない地域は陸路で運ぶ必要があり、運搬コストが大きい。LNGをコンテナで輸送すれば、需要地近くの港で荷下ろしし、そのまま搬送できるため、運搬コストを抑えられるという。

　西部ガスはロシアのガス大手「ノバテク」と合弁会社を設立し、ロシア産のLNGをアジアに販売する協議も進めている。中国向けで輸出の実績をつくり、協議の進展に弾みを付けたい考えだ。

　　　◇　　　　◇

需要急増中国に狙い　ひびき基地の立地も強み　西部ガス

　西部ガス（福岡市）が中国向け液化天然ガス（LNG）の輸出事業に乗り出す背景には、中国での急速な需要の伸びがある。近年、輸入量が拡大し、数年後には世界最大の輸入国である日本を超えるという予測もある。中国に近い九州北部という立地の強みを生かし、事業を軌道に乗せたい意向だ。

　西部ガスは輸出事業の参画に向け、2年前から中国向けにコンテナ船を使った輸送実験を始めていた。当初は国営のエネルギー関連会社がひしめく中国に割って入る余地は乏しいとみていたが、天然ガスを供給するパイプラインが届かない内陸部では、供給が需要に追いついていない実態があった。1月に現地企業と協力し、コンテナ船で270トンを試験輸出したところ、LNG輸出の引き合いが増えたという。

　LNG輸入者でつくる国際グループ「GIIGNL」によると、中国のLNG輸入量は2019年が約6200万トンで世界第2位。需要は今後も拡大を続け、数年後には1億トンを超えるとの予測がある。西部ガスの担当役員は「今後5千万トン増えたとして、1、2％でも食い込むことができれば年間数十万トンの輸出も見込める」と期待を込める。

　西部ガスは中国北部に近い北九州市若松区にひびきLNG基地を持っており、向かい側にはひびきコンテナターミナルもある。国内ガス大手が持つLNG基地と比べて往来する船舶数が少なく、中国まで運搬する際の時間的損失が少ないという。

　国内のガス事業者は、人口減少で成長性の乏しい国内市場ではなく、成長が見込まれる中国や東南アジア市場への参入に力を入れている。静岡ガス（静岡市）は西部ガスと同じく中国へのLNG輸出を狙い、コンテナ船を使った輸送実験を進める。東京ガス（東京）は、フィリピンでLNG洋上基地の建設への参画を表明している。　（山本諒）

西日本新聞　2020/10/14 6:00
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/654056/

中国にLNG 西部ガス輸出 単独、国内ガス大手では初 [蚤の市★]

中国にLNG　西部ガス輸出　単独、国内ガス大手では初 [蚤の市★]