新型コロナ下で始まる「隣人愛」　「イエスの方舟」が福岡市香椎で“復活” [蚤の市★]

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　1970年代に若い女性会員の家出が相次ぎ、「現代の神隠し」と騒がれた聖書研究グループ「イエスの方舟（はこぶね）」の会員が7日、福岡市東区香椎駅前でダイニング＆ラウンジ「シオンの娘」を開店した。2019年末まで38年間、市内の繁華街・中洲（博多区）で同名のクラブを経営していたが、新天地で新たなスタートを切った。

　「イエスの方舟」は「おっちゃん」と呼ばれた千石剛賢（たけよし）さん＝01年死去＝が東京で始めた聖書を研究するグループ。若い女性が中心に集まり、共同生活をするようになり、75年に今の名称となった。会員の家出が続き「娘を返せ」と迫る家族から逃れるように東京を離れ、80年ごろ拠点を福岡に移した。

　中洲で始めたクラブ「シオンの娘」で、会員がホステスとなって生計を立て、やがて人気店に。「邪教集団」との誤解も解消されていった。現在、千石さんの妻まさ子さん（87）を責任者に、福岡県古賀市の教会で13人が共同生活をする。

　「中洲は卒業、静かな雰囲気でお客様をもてなしたい」と博多の中心部から離れた香椎の街に新店舗をオープンした。会員がソフトドリンクを飲みながら接待し、フラメンコやピアノなどのショーを見せるやり方は中洲時代と同じだが、食事もできるようにした。

　春の開店を目指していたが、新型コロナウイルスの影響で大幅に遅れた。二十数人の客が入れるが、コロナ対策で当面、入店できるのは半数にするほか、ホステスがフェースシールドを着用したり、客同士の間にアクリル板の仕切りを設置したりして感染防止に努めることにしている。

　店は7日の初日から中洲時代の客が駆けつけ、開店を祝った。隣の福岡県新宮町から来た元税理士の男性（73）は「中洲の店が閉まってからの半年、寂しかったが、これからは、しばしば訪れたい」。店長を務める千石さんの三女恵さんは「隣人愛の実践の場として、これからもお客様が一日の疲れを癒やす場としたい」と話す。【松田幸三】

毎日新聞 2020年7月9日 05時30分(最終更新 7月9日 05時32分)
[https://mainichi.jp/articles/20200708/k00/00m/040/415000c

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