【パウエル・バズーカ砲】米FRBが追加策検討へ…パウエル議長「コロナ危機は景気に長期的なリスクをもたらす可能性がある」 [みんと★]

みんと ★

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会（FRB）のパウエル議長は13日の講演で「生産や所得の長期停滞を避けるには、追加の政策手段が求められるだろう」と述べ、さらなる資金供給や金融緩和を検討する考えを表明した。新型コロナウイルスによる経済封鎖で、失業者が急増しており「第2次世界大戦以降のいかなる後退局面よりも極めて深刻な状態だ」と厳しい見方を示した。

FRBは3月以降、ゼロ金利政策や量的緩和政策を復活させ、社債購入や間接融資で一般企業にも資金支援する前例のない政策を発動している。債券利回りの低下など金融市場は落ち着きを取り戻しているが、4月の失業率が戦後最悪の14%に上昇するなど、実体経済の落ち込みは極めて厳しい。パウエル氏は「所得が年4万ドル未満の世帯では、およそ40%が失職に追い込まれた」との独自調査も明らかにした。

米政権は7～9月期以降の景気のV字回復を期待するが、パウエル氏は「コロナ危機は景気に長期的なリスクをもたらす可能性がある」と不安視した。設備投資の減退によって生産性が低下し、長期失業で労働者もスキルを失うと懸念した。企業倒産がさらに増えれば雇用の受け皿も乏しくなり「経済復元の力強さが損なわれる」と述べた。

パウエル議長は「こうした経済の長期停滞を回避するためには、追加の政策手段が求められるだろう」とも強調した。具体的な手段には触れなかったが、金融市場や一般企業への資金供給の拡大や、資産購入など一段の量的緩和などが検討課題になる。トランプ大統領は12日、日欧が採用するマイナス金利政策の導入をFRBに要求した。

パウエル氏は「長期的な経済のダメージを避けるには、追加の財政出動が有効だ」とも述べ、米政権と連邦議会にさらなる経済対策の発動も要求した。「FRBの緊急資金供給はあくまで融資であって、歳出ではない」と指摘。企業が投資や雇用を積み増すには、減税や補助金などの財政政策によって、産業界の資金余力そのものを高める必要があると強調した。

日本経済新聞 2020年5月13日 22:26
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59058690T10C20A5FF8000/