【地方どしゃぶり】地方経済「どしゃぶり寸前」、地域金融リスク取り支援を [蚤の市★]

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新型コロナウイルスの感染拡大は、地方の中小零細企業の経営を直撃している。売り上げの減少や資金繰りに苦しむ事業者に、地域金融機関はどう向き合うべきか。全国の信用組合でつくる全国信用協同組合連合会の会長で、広島市信用組合の山本明弘理事長に聞いた。
――融資先の状況は。
「バブル崩壊による不動産や株の暴落、リーマン・ショックによる世界同時不況など、様々経験してきたが、今回のコロナショックはまったく違う。私が理事長を務める信組でも、地元のマツダの国内工場が減産に追い込まれ、下請け企業の業況も一気に厳しくなっている。地元有数の飲食店も売り上げが限りなくゼロに近いという状態だ。ほぼ全業種で同時多発的な沈み込みが起きている」

「緊急事態宣言を受けた休業要請で、飲食店などが入る賃貸ビルも、今はほとんどの店が休んでいる。ビルオーナーの売り上げも急減している。リーマンの時もテナントの閉店で家賃収入が減る例はあった。だが今回は数が違う。これほど大量に出るとは、今まで想像したことすらなかった。大手ゼネコンが工事を中断したあおりで、土木建築などにも影響。宿泊業も深刻だ」

――バブルやリーマンの時よりも厳しい状況か。
「新型コロナウイルスが世界的に流行し始めてから、影響がありそうな取引先をリストアップしたところ、3月時点で2千社に達した。コロナの影響が広がっていき、これでは駄目だと、数百万円単位の貸付先も含めて、全て洗い出すよう指示した。すると、4月上旬には約5500社に積み上がった。今こそ、過去にないような支援をして、地域金融機関の力を発揮する時だ」

――今回のコロナショックはどういう状況か。
「たとえるなら、今の状態は、どしゃぶりの雨が降る寸前だ。今、大企業がいざというときに備え、融資枠を確保しようとしている。まさに、どしゃぶりの雨になりかけているところで、地域金融機関も普通の傘ではなく、大きな傘を用意しないといけない」

中小零細の経営者、窓口に来る余裕ない
――どのような顧客対応を。
「融資の返済条件変更について、ものすごい相談がきている。バブルやリーマンの比じゃない。うちの信用組合だけですでに約40億円、170件以上の変更に応じた。今からまだまだ増えるはずだ。中小零細企業の経営者は、そもそも日々の経営に必死で、窓口に来る余裕はない。しかも、新型コロナの流行で窓口にも来にくい」

「われわれのような信組は地域金融機関の中でも、中小零細にとって『最後の砦（とりで）』だ。言い換えるなら、中小零細にとっての、地域のかかりつけ医のような存在だ。感染拡大防止策を徹底したうえで、一軒一軒訪ね歩き、聴診器をあてて状況を聞き、支援している」(>>2以降に続く)

朝日新聞2020年4月28日 7時00分
https://digital.asahi.com/articles/ASN4S6DCMN4QOIPE01C.html?ref=tw_asahi