【長崎】クルーズ船「コスタ・アトランチカ」感染…クラスター対策班「国が適切に関与し、主導する必要がある」 [みんと★]

みんと ★

長崎市に停泊中のイタリア籍クルーズ船「コスタアトランチカ」乗員の新型コロナウイルス感染者は、148人に上った。重症で入院しているのは1人だが、長崎県は最大で感染者の2割に相当する約30人に入院の可能性があると推測する。重症者が増えた場合、県内だけでは対応できないとして他県に協力を求める方針だが、全国的に感染増加が止まらない中で支援を得られるかどうかは見通せない。

県によると、県内の新型コロナ患者向けベッドは102床。県医師会はうち43床を重症者用としている。クルーズ船を除く感染者はこれまでに17人確認（うち死者1人）され、県によると22日現在で5人が退院した。

感染者は大都市に比べ少ないものの、森崎正幸会長は集団感染が判明した後の23日の記者会見で、必要な医師や看護師の数を考えれば実際に使える重症者用ベッドは多くても30床ほどだと指摘し、医療危機的状況にあるとする宣言を出した。

感染症指定医療機関の長崎大病院（長崎市）は、船内で重症者が増えた場合、病棟の一つを閉鎖して浮いた人員で対応することを検討する。ただ、既に一般入院の病床稼働率を通常時に比べ約1割下げており、新型コロナ以外の患者の診療や入院がさらに制限される可能性がある。

船内に残る感染者147人は客室で療養を続ける見通しで、県などが状況を注視する。船外に仮設の診療施設を設け、自衛隊や災害派遣医療チーム（DMAT）の医師らが診療や相談に当たる。

県の中田勝己福祉保健部長は25日の記者会見で「今後、重症者が増えて県内の病床に余裕が無くなった場合は、（県外に搬送するなど）広域的な支援をお願いしたい」と訴えた。ただ、近隣県も感染者が増え続け、余裕があるとは言いがたいのが実情だ。

現地で対応に当たる厚生労働省クラスター対策班の鈴木基医師は「全国で感染が拡大し、他県にどこまで支援を望めるかは不透明だ。国が適切に関与し、主導する必要がある」と指摘した。〔共同〕

日本経済新聞 2020年4月26日 20:14
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58517200W0A420C2CZ8000/