【新型ウイルス】「帰省と帰郷は異なる」　インドネシア大統領発言が物議

首都圏の虎 ★

【ジャカルタ時事】インドネシア政府が打ち出したイスラム断食月（ラマダン）入り後の帰省禁止をめぐり、ジョコ大統領が「帰省と帰郷は異なる」と、移動を一部容認するような見解を示し、物議を醸した。都市部に感染者が多い新型コロナウイルスの拡散を防ぐための禁止だが、決定まで１カ月を要し、首都からは既に大勢が脱出。遅い決定への批判をかわすために飛び出た釈明とみられるものの、移動を後押しする恐れがある。
　ラマダンは２４日から始まった。政府は期間中の帰省を禁じ、違反者には来月７日から罰則を科すと２１日に発表した。禁止は約１カ月前に浮上した後、「見送り」「自粛要請」を経て二転三転した。経済成長を重視するジョコ大統領の姿勢が影響した可能性があるが、この間に帰省者が続出した。
　ジョコ大統領は２２日夜に出演したテレビ番組でこの点を問われ、「それは帰省ではなく、帰郷だ」と答えた。さらに、移動や活動が大幅に制限されたジャカルタ首都圏で収入を失った人の存在に触れ、「仕事がないので妻や子が待つ故郷に帰るだけ」と容認するような発言をした。
　ネット上ではこの発言をめぐる投稿が殺到した。一部に理解を示す声はあったが、多くは「違いが分からない」と混乱。「摘発されても『帰郷だ』と言い逃れできる」との書き込みもあった。インドネシア語の辞書は二つを同じ意味で扱っている。
　地元メディアによると、首都圏の高速道路では２３日、帰省の車両で渋滞が発生。ジャカルタを離れる車両が２７％増えた。移動・活動制限で渋滞は影を潜めていたが、帰省禁止や罰則適用を前に脱出する人が相次いだ。

2020年04月24日20時31分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020042400913&g=int

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