埼玉医療生協、徳洲会に移行を提案　23億円で譲渡し年内解散 [蚤の市★]

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　羽生総合病院（埼玉県羽生市、311床）や皆野病院（皆野町、150床）などを運営する埼玉医療生活協同組合（福島安義理事長）が年内に解散し、運営主体を医療法人徳洲会に移行する方針を固めたことが同組合などへの取材で判明した。13日に開かれる最高議決機関「総代会」に諮られるが、総代の中には「急すぎる」という声が上がる。毎日新聞が入手した内部文書によると、事業譲渡額は約23億円で、総代会では資産評価の妥当性も焦点となる。【隈元浩彦】

「自然な流れ」一部に反発も
　同組合は1982年に設立され、83年に羽生病院（99年に羽生総合病院に改称）を開設。皆野病院や、加須、行田両市でクリニックなどを運営している。1口5000円を出資する組合員は県内在住・在勤者に限られ、現在は約4万3000人。設立当初から徳洲会との関係が深く、執行部の多くを徳洲会の出身者が占める。

　解散の提案理由について、組合専務理事の畑中一志氏は取材に対し「組合員はこの1年で8000人以上減少した。一方で羽生総合病院は、新型コロナウイルス患者を積極的に受け入れ、群馬も含めた利根川流域の拠点医療機関としての比重が高まっている。生協形式では非組合員の利用に制限があり、地域医療に貢献していくには、元々関係の深い徳洲会に移行するのが自然な流れだ」と説明する。

　総代は271人で、うち病院職員は約100人。提案は3分の2の賛成で議決されるが、解散の動きに「唐突だ」と反対の声を上げる総代がいる。

　羽生市の本田裕さん（75）もその一人。「病院の開設時から、市は市有地を30年以上も無償貸与してきた。2018年に現在の地に移転する際も土地代に見合う額として3億円を交付している。言ってみれば市民の財産。大した説明がないまま、民間法人に譲渡されるのは納得がいかない」と言う。

　譲渡対価の問題も浮上している。組合の定款上、解散に当たっては、残余財産は組合員で分配することになっている。現在の組合資産は約159億円だが、執行部は今後の医療活動に必要な経費として約133億円と、市に返済する交付金3億円を除外した約23億円を組合の残余財産としている。出資金1口当たり約4万6000円の配分になる。

　本田さんと共に「市民の財産を守ろうの会」を設立した組合員の漆原和秀さん（73）が問題視するのは、除外した133億円の内訳だ。例えば、9年以内の皆野病院の改築費として約74億円が計上されている。「徳洲会が払う筋の将来の事業計画までなぜ、組合財産から支出するのか。わずか23億円で徳洲会が組合の全資産を手に入れるのは解せない」と話す。

　この点について、組合の丸田恵二理事は「譲渡対価が安すぎると考えるのは無理もないかもしれないが、（既に医師・看護師を組合に多数供給している）徳洲会と組合という二つの法人を、別のものだと思っている人はいない。133億円は地域医療の継続には必要な対価だ」と説明する。

　一方、羽生総合病院の移転に伴う用地取得を巡っては、不当に高い仲介報酬を不動産業者に支払ったとして、組合が19年、松本裕史院長ら理事3人に計約約1億2060万円の損害賠償を求める民事裁判をさいたま地裁に起こしている。本田さんは「組合の対応は不可解。慌てて組合を解散するのは、裁判で指摘される問題点の所在を曖昧にするためではないか」と指摘する。

　推移を注視してきた羽生市は、組合に支出した3億円が戻る見通しとなり、静観の構えだ。河田晃明市長は「包括的な地域医療の実現など、市との協力関係の維持は確認が取れている。市民は安心してほしい」と話した。

毎日新聞 2021/6/13 10:58（最終更新 6/13 10:59） 1489文字
https://mainichi.jp/articles/20210613/k00/00m/040/047000c

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