【名古屋地裁】高性能爆薬(TATP)製造の元大学生に実刑　懲役3～5年父親「息子の暴走を止めて頂いて、ありがとうございます」

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高性能爆薬を製造したなどとして、爆発物取締罰則違反など七つの罪に問われた元大学生の少年（１９）の判決公判が２５日、名古屋地裁であった。神田大助裁判長は「刑事処分を科するのが相当」と述べ、懲役３年以上５年以下（求刑懲役３年以上６年以下）の実刑判決を言い渡した。弁護側は保護処分を求めていた。

判決によると、少年は２０１６年１２月～１８年８月、自宅で高性能爆薬の過酸化アセトン（ＴＡＴＰ）や四硝酸エリスリトール（ＥＴＮ）を製造・所持し、公園でＴＡＴＰなどを燃焼させたほか、３Ｄプリンターなどを使って銃１丁を製造・所持したり、覚醒剤を作ったりした。

神田裁判長は「各犯行は反社会的かつ悪質性の高い犯行で、短期間に次々と重ねた犯情は厳しい非難にあたる」と指摘。そうした事情から「保護処分の選択が社会的に許容されるとは言いがたい」と判断した。

■「閉ざされた部屋」で突き進んだ暴走

「警察には息子の暴走を止めて頂いて、ありがとうございます」。少年の父親は証人尋問でそう言った。

一人息子を「極端に大事」にする母親。単身赴任で不在がちの父親。もともとのめり込みやすい性格の長男は、だれにも干渉されることなく、爆薬製造へと突き進んでいった。

両親さえ、息子の部屋に入ることはなかった。だが昨年４月、愛知県警の家宅捜索を受けて、すべてを知ることとなった。少年は閉ざされた部屋では爆薬を製造し、それを「感度実験」などと称して隠れて燃焼させていた。両親から注意を受けた少年は、反省の色を浮かべ、後悔しているように見えた。

「ここで収まる」。両親の期待とは裏腹に、少年はその後も覚醒剤製造に手を出すなど違法行為はエスカレート。昨年８月、爆発物取締罰則違反などの疑いで県警に逮捕された。父親は「（善悪を）教えられなかった。監督不足は否めない。私も反省すべき点がある」と悔やんだ。

高校入学後、海外のウェブサイトで製造方法を調べ、必要な薬品を通っていた高校から持ち出して爆薬を製造した。浅はかな「興味」と「（拳銃は）悪用しなければ大丈夫」といった身勝手な考えからだった。

被告人質問で神田裁判長は「やっていいことと悪いこと。小さい子でもわかる馬鹿みたいに簡単なことが、あなたには欠けていた」と厳しく指摘した。この日、実刑判決を言い渡すと、「あなたには恵まれた環境があって、甘えがあったと思う。一定のけじめをつけたうえで、もっと心の豊かな人になって、若いんだから、いつか社会に貢献できるような人になって下さい」と諭した。

証言台の椅子に座って判決を聞いた少年。社会復帰後は学業に戻りたいとの意向を示している。（仲程雄平）

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2019年3月26日09時32分
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASM3N3K07M3NOIPE00J.html

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