【帰国から15年】拉致被害者５人早期解決望む声強まる

みつを ★

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171015/k10011178301000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_002

北朝鮮に拉致された被害者のうち５人が帰国して１４日で１５年になります。この間、拉致によって奪われた時間を着実に取り戻してきた５人ですが、ほかの拉致被害者について進展がないことに危機感を募らせていて、５人の間からは被害者の早期帰国に向けた政府の取り組みを求める声が強まっています。
昭和５３年に北朝鮮に拉致された蓮池薫さん祐木子さん夫妻と地村保志さん富貴恵さん夫妻それに曽我ひとみさんの５人は、１５年前の日朝首脳会談のあと２４年ぶりに帰国を果たしました。

この間、５人は大学の准教授や県の嘱託職員などとして歩み、このうち地村保志さんは１３年にわたって勤めた地元、福井県の小浜市役所を去年、定年退職しました。拉致によって奪われた時間を着実に取り戻してきた５人ですが、横田めぐみさんなどほかの拉致被害者について進展がないことに、心休まらない日々だということです。

今月には、地村さん夫妻と曽我さんが平成１５年以来、１４年ぶりに、そろって集会に出席し、拉致問題が埋没していくことに懸念を示すとともに、被害者の早期帰国に向けた政府の取り組みを求めました。

拉致問題は先月で最初の事件の発生から４０年がたち、被害者家族の高齢化も進んでいて、帰国した５人の間からは、早期解決を望む声がこれまで以上に強まっています。

北朝鮮による日本人拉致問題

政府が北朝鮮による拉致被害者と認定している１７人は、昭和５２年から５８年までの７年間に相次いで拉致されました。平成１４年の日朝首脳会談で北朝鮮のキム・ジョンイル（金正日）総書記が初めて拉致を認め、５人が帰国を果たしました。

このほかの１２人の被害者について、北朝鮮は「死亡」または「入国していない」と主張していますが、「横田めぐみさんのものだ」として出してきた遺骨から別人のＤＮＡが検出されるなど、その説明には矛盾や誤りがあることがわかっています。政府は、北朝鮮の説明は信ぴょう性が疑われ受け入れることはできないとして、調査のやり直しとすべての被害者の早期帰国を求めています。

安否不明の被害者家族は今

帰国できた人とそうでない人との明暗が分かれたままの拉致問題。拉致事件が起きた時１歳だった田口八重子さんの長男、飯塚耕一郎さん（４０）がインタビューに応じ今の心境を語りました。

耕一郎さんの母、田口八重子さん（当時２２）は昭和５３年に北朝鮮に拉致されました。当時１歳。よちよち歩きを始めたばかりだった耕一郎さんに、八重子さんの記憶はありません。母親とのつながりを示すものは、へその緒と母子手帳、それに、一緒に写った１枚の写真だけです。

インタビューの中で耕一郎さんは、帰国した被害者とのこの間のやり取りについて「皆さん一様に『ほかの被害者が死亡したという北朝鮮の説明は誤りだ』『生きていると信じて頑張ってほしい』と話して下さり本当に心強かった。また、八重子さんが北朝鮮に着いた時『子どもがいるから帰してほしい』とおなかの妊娠線を見せて担当者に迫った話や、映画を見ていて親子が離れ離れになるシーンが出てくると涙を流していたという話は今も記憶に残っています」と振り返りました。

そのうえで「この１５年、帰国した５人が幸せに暮らせていることをとても喜ばしく思っていますが、一方で私たちの家族はいまだ帰国できておらず深い無念の気持ちがあります。北朝鮮情勢が緊迫している時だからこそ拉致問題の存在を忘れてほしくないし、政府には安易な幕引きや妥協はしてもらいたくない。この長かった１５年がまた１５年続くことはあってはならない」と話しました。

八重子さんの兄の飯塚繁雄さんに引き取られた耕一郎さんは、この間、母親の面影をたぐり寄せる作業を続けてきました。帰国した拉致被害者が語る北朝鮮での八重子さんの様子。八重子さんが北朝鮮で一時、日本語を教えていた元工作員、キム・ヒョンヒ（金賢姫）元死刑囚との面会。３年前には、これまで行くことができなかった、母親が拉致されたと見られる宮崎県の青島海岸まで足を運びました。その耕一郎さんも、ことし４０歳。しかし、拉致によって突然断たれた母親との絆は取り戻せないままです。

10月15日 4時37分

【帰国から15年】拉致被害者５人 早期解決望む声強まる

【帰国から15年】拉致被害者５人早期解決望む声強まる