【環境】地球温室化を防ぐ「層積雲」、温暖化で消失の可能性劇的な気温上昇の恐れ

みつを ★

http://www.afpbb.com/articles/-/3212994?cx_part=latest

地球温室化を防ぐ「層積雲」、温暖化で消失の可能性劇的な気温上昇の恐れ
2019年02月26日 19:35

【2月27日 AFP】海上の雲は太陽光を宇宙空間に反射することで、地球が温室状態になることを防いでいる。だが、大気中の二酸化炭素（CO2）量が現在の3倍になった場合、この雲が崩壊し消失する可能性があると警告する研究結果が25日、発表された。

　今回の研究をまとめた論文の主執筆者で、米カリフォルニア州パサデナ（Pasadena）にあるジェット推進研究所（Jet Propulsion Laboratory）の科学者タピオ・シュナイダー（Tapio Schneider）氏は、「今回の結果は、気候変動に、これまで知られていなかった危険な限界値が存在することを示している」と、AFPに語った。
　このような雲は「層積雲」と呼ばれ、米カリフォルニア州、メキシコ、ペルーなど主にアメリカ大陸西側の亜熱帯性の海洋の約20％を覆っている。
　論文によると「層積雲が消失すると、地球は温室効果ガス濃度の上昇にのみ起因する温暖化に加えて、約8度にも及ぶ劇的な気温上昇に見舞われる」という。

　これほどの規模の気温上昇は、極地の氷を融解させ、数十メートルもの海面上昇を引き起こすと考えられる。
　前回、地球がこれほどの高気温になったのは約5000万年前で、その頃はワニが北極地方を歩き回っていた。
　この半分の規模の温暖化でさえ、人類の適応能力を超えると考えられると、科学者は指摘している。
　人為的な地球温暖化が始まって以降、大気中のCO2濃度は285ppmから410ppmへと45％近く上昇している。

　シュナイダー氏と研究チームは、層積雲の挙動をモデル化する革新的な手法を用いて、CO2濃度が1200ppmに達した場合、温暖化の加速が制御不能になるとされる「臨界点」はこれよりも幾分高いかもしれないと考えられているにもかかわらず、雲による防護の覆いが崩壊する恐れがあると推算した。
　現在の3倍に当たるこの濃度を超えることは、それほど現実離れした話ではないかもしれないと科学者は警告する。
　気候変動によって起こる問題に対する緊急警告が発せられてから30年経過したが、世界の温室効果ガス排出量は今なお年々増加の一途をたどっている。

　豪メルボルン大学（University of Melbourne）気候・エネルギー学部のマルテ・マインシャウセン（Malte Meinshausen）学部長はAFPの取材に対し、今年発表予定の論文を引用し、何も対策を取らず現状通りの水準でCO2の排出が進行すると、CO2濃度は「2104年までに1200ppmを超える」と説明した。

■5000万年前の温暖化の謎

　英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス（Nature Geoscience）に発表された今回の研究結果は、現在より気温が約12度高かった5000万年前の始新世初期に関する長年の謎を解決する可能性がある。
　これほどの水準の温暖化は、CO2濃度が約4000ppmにまで上昇していなければ説明がつかないが、実際の濃度はその25～50％にしか達していなかったことが地質学的証拠で分かっている。
　今回の研究によると、1000～2000ppmのCO2濃度がまさに、地球を冷却させる雲を消失させ、気温を最高で8度押し上げる限界値に当たる。
　シュナイダー氏は「層雲層の消失に起因する気温の急上昇は、始新世における温室気候の出現を説明できる可能性がある」と指摘した。(c)AFP/Marlowe HOOD

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