官民ファンドの産業革新投資機構（JIC）、発足３ヶ月足らずで民間出身取締役が全員辞任で政府に反旗

ニライカナイφ ★

☆ たまたまスレです

官民ファンドの産業革新投資機構（JIC）は発足3カ月足らずで、民間出身取締役9人全員が政府に反旗を翻し、辞任表明する異例の事態となった。背景には、投資方針をめぐる政府との対立がある。JICの田中正明社長は「信義にもとる行為があった」と経済産業省を強く批判。かじ取り役を失ったJICの先行きは視界不良で、不振企業の救済に公的資金を投じる「従来型の官民ファンド」に先祖返りする可能性も否定できない。

◇「高額報酬」報道で一変

「新しいガバナンス（企業統治）の下、国民へのリターンを最大化する」－。世耕弘成経産相は7月上旬、JIC発足を前に、田中社長ら経営陣候補を「世界レベルの人材」と持ち上げた。

JICは政府が出資金の9割以上を拠出。国内外の投資ファンドと連携し、5兆円規模の投資能力を持つ構想が描かれていた。田中社長は9月の記者会見で「ゾンビ企業を延命させる気は全くない」と宣言。政府の意向に従い日本航空やルネサスエレクトロニクスの再生を支援した過去の官民ファンドと一線を画す構えを強調した。

だが、JICと経産省のタッグは11月に崩壊する。発端となったのは、JICの年間役員報酬が「1億円を超える」との一部報道だ。関係者によると、経産省の政府内調整が不十分だったこともあり、安倍政権の高官が「高過ぎる」と問題視。同省はいったん提示した報酬案を撤回した。さらに、高い収益が見込める投資ファンドへの積極的な資金提供を認めるという従来姿勢を突如転換し、出資先の監視強化を持ち出した。

◇政府関与で対立決定的に

JICは前身の組織と異なり、海外の政府系投資ファンドや民間投資会社と組み、利益を追求するのが特徴。投資決定に当たっては「民間同様の精緻な分析や手続き」（JIC役員）を徹底し、人工知能（AI）や創薬など新世代の産業に資金を振り向ける方針を掲げていた。

しかし、経産省の要求はそれを覆すものだった。JIC役員は「報酬減額はともかく、投資方針への政府関与が強まるのは受け入れ難かった」と振り返る。この時点で政府内の調整を重視する経産省と、海外ファンドなどと激しい競争にさらされる民間出身の投資のプロとの対立は決定的になったと言える。

一方、世耕経産相は10日の記者会見で「白紙委任しているわけではない」と述べ、個別出資先の監視は不可欠だと指摘。官と民の論理はすれ違ったままだ。

経産省はJIC取締役9人の退陣表明を受け、新経営陣の選定を急ぐが、作業は難航が必至。米系投資銀行の幹部は「政府の意向通りに企業を救済する機構を望む動きが（政府内に）ある」と指摘。田中社長は10日の会見で「（政府は）それに適した体制をおつくりになるのが良い」と突き放した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181215-00000032-jij-bus_all