【ドイツ】＜難民受け入れ宣言から３年＞就業率上昇も課題多く…道半ば

ニライカナイφ ★

◆難民就労、道半ば＝独、受け入れ宣言３年－就業率上昇も課題多く

ドイツのメルケル首相が「私たちにはできる」と、後に有名になったフレーズで難民受け入れ宣言をしてから、今月末で３年が経過する。
難民の社会への適応で最も重要とされる就労の面では、就業率の着実な改善という成果が見え始めた。
一方、不安定な雇用形態などの課題も浮かび、道半ばの状況だ。

「戦争、テロがまん延する国では、安全も、将来の見通しも感じられなかった。ドイツは希望と安心を与えてくれた」。
シリア内戦の激戦地だった西部ホムス出身で、今はベルリンの不動産会社で営業職の職業訓練生として働くファレス・ダヒさん（３０）は、流ちょうなドイツ語でこう話す。

大学院生だった２０１５年６月にホムスを脱出し、スーダンなどを経てリビアから小さな船でイタリアに渡った後、ドイツに到達した。
ダヒさんが働くゲボバック社は１５年以降計８人の難民を受け入れ、語学コースや就労に当たっての基礎知識を教える研修を実施。

ダヒさんは研修を終え、正規雇用を見据えた３年間の職業訓練に進んだ。
同社は従業員６００人超の中堅企業だが、人事部のマルティナ・ヘガー氏は「わが社の物件にはドイツ以外にルーツを持つ借り手も多い。多様な文化を知る従業員の確保は、社の将来のためでもある」と強調する。

職人の養成を重視するドイツでは、給与を受け取り勤務しつつ、専門学校などで学べる「デュアルシステム」と呼ばれる職業訓練の伝統があり、難民の一定の受け皿となっている。
訓練生として働く難民は１７年に全国で９３００人と、前年の２倍以上に増加した。

ただ、こうした成功例はまだ限定的だ。
独政府の労働市場・職業研究所によると、１５年以降に入国した難民約１５７万人の就業率は、職業訓練生らも合わせて５月時点で２７％にとどまる。
前年同月から１０ポイント近く上昇したが、ほとんどが有期雇用で、飲食業やサービス業が多い。

難民の就労に詳しいドイツ統合・移民財団連盟のベンデル委員は、言語の壁に加え、母国での就労資格が制度の違いで生かせない問題があると指摘する。
「資格をドイツでも有効に使えるよう、煩雑さを極力排した検定や、不足分の能力を補う訓練制度などが必要だ」と語った。

「移民や難民に職を奪われる」との懸念についてベンデル氏は、「実際には、労働力の不足は、移民・難民の流入数を上回っている」と労働市場への取り込みは不可欠だと強調。
「政治が正確なメッセージを伝えていく必要がある」と訴えた。

時事通信　2018年08月26日14時25分
https://www.jiji.com/sp/article?k=2018082600249

【ドイツ】＜難民受け入れ宣言から３年＞ 就業率上昇も課題多く…道半ば

【ドイツ】＜難民受け入れ宣言から３年＞就業率上昇も課題多く…道半ば