【東日本大震災】避難者ようやく１０万人割る　見えぬ先行き…支援継続訴え

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　東日本大震災の発生からまもなく６年３カ月。全国の避難者の数がようやく１０万人を下回った。だが、岩手、宮城、福島の被災３県では、先行きの見えない避難生活を送り、不安を抱える被災者は多い。県の担当者は支援継続の必要性を訴えている。

　復興庁が５月３０日に発表した震災避難者数は全国で９万６５４４人（５月１６日時点）。震災直後の推計４７万人から約５分の１まで減った。東京電力福島第１原発事故による避難指示の一部解除に加え、自主避難者の住宅無償提供が３月末で打ち切られ、避難先の民間賃貸住宅を退去した人などが数字上、避難者数に計上されなくなったためだ。

　一方、福島県内の避難指示は一部で解除されたものの、今も７市町村の約２万４千人を対象に継続中。自宅に戻るめどは立たない。

　原発が立地する同県大熊町の帰還困難区域に自宅があり、いわき市の仮設住宅に避難している無職、谷津田義博さん（７７）は、東京からＵターンし、営農が軌道に乗ったところで避難を余儀なくされた。

　連れ添った妻＝当時（７９）＝は昨年病死した。「生活再建を思い描くことさえできず、避難中に亡くなった人も多い」と打ち明け、避難者が１０万人を下回ったことについては「正直、ピンと来ない」と話した。

　福島県の避難者は４月から８６５３人減少し、２万３８９７人になったが、放射線量が高い帰還困難区域は原則立ち入り禁止で、自宅がある人は戻るめどが立たない。県避難者支援課の武藤正久副課長は「表面上、避難者数は減少したが、今後も支援を必要とする人が相当数いる」と指摘する。

　県は、住宅の無償提供を３月末で打ち切った自主避難者の中で、所得水準などの条件を満たす場合には、平成３１年３月まで家賃を一部補助するといった支援を継続する方針だ。

　岩手県釜石市の自宅を津波で流され、盛岡市の「みなし仮設住宅」のアパートで暮らす無職の冨沢順子さん（６９）は「こんなに避難生活が長引くと思わなかった」とため息をつく。

　盛岡市に整備予定の災害公営住宅に入居を希望しているが、建設場所はまだ決まっていない。震災後に体調を崩して近所の病院で人工透析を受け、治療費負担も生活に重くのしかかる。「公営住宅入居後は家賃も発生する。年金生活でやっていけるのか、生活の見通しが立たない」と言う。

　宮城県南三陸町の仮設住宅の団地で４月まで約６年間、自治会長を務め、昨年１０月に自宅を再建した無職の畠山扶美夫さん（６８）は「みんな着実に元の生活を取り戻しつつある」と話す一方、「災害公営住宅に入居する高齢者は近所付き合いが希薄で、引きこもる人も多い」と課題を語った。

2017.6.8 10:37 産経新聞
http://www.sankei.com/smp/life/news/170608/lif1706080017-s1.html

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