【経済】見えてきた株価２万円

愛の世代の前に ★

11月30日に石油輸出国機構（ＯＰＥＣ）が８年ぶりの減産で合意。
原油価格の先高期待と米長期金利の上昇、中国の経済指標の改善と好材料が重なり、
「安全通貨」とされる円を売って日本株を買う動きが広がった。

日本株は「2017年にかけて最も有望な投資対象のひとつ」（外資系証券）との声も出る。
米国経済の回復とドル高・円安の双方で恩恵を受けるのが日本株だからだ。

　他にも日本株に目が向く要因はある。米国株はもちろん有望な投資先だが、すでに最高値を更新中。
欧州株はイタリアの国民投票や来年にかけて相次ぐ選挙などに伴う政治リスクを考えると手を出しにくい。
アジアなどの新興国株はドル高の弊害がどこまで及ぶかもう少し見極めが必要――。投資家が「トランプ政権下」の世界を思い描く中、
政治的な安定とドル高の恩恵を兼ね備えた日本に焦点が当たるわけだ。

　国内投資家はまだ株高に乗り遅れており、海外投資家は投資戦略を見直し始めたばかり。
「現時点で日本株を売る理由がある人があまりいない」（ソシエテ・ジェネラル証券の杉原龍馬氏）。
11月に入ってから海外投資家は日本株を１兆円規模で買い越したとみられるが、10月までに６兆円弱売り越していたことを考えると、
「売り時」は意外にもう少し先かもしれない。

　ただ、一部には足元の株価上昇に「去年の嫌な記憶がよみがえった」とデジャブ（既視感）を覚える市場参加者もいる。
昨年は12月初めにいったん２万円台を回復したものの、年末時点では１万9033円まで押し戻された。
世界景気の減速懸念から波乱の年明けとなったのは記憶に新しい。

　１月の就任後、トランプ次期大統領が金融規制の緩和や大型減税などの政策をどこまで実行に移せるかは未知数だ。
長い目で見れば、政府債務の拡大が将来の経済成長をさまたげかねないとの懸念もある。
「政策に逆らうな」の相場格言を地で行くトランプラリーだが、「２万円後」の視界はまだ開けていない。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ01H3E_R01C16A2000000/