【社会】「終戦の日、畑中少佐の決起放送拒否」不屈のジャーナリスト、柳沢恭雄さんを知って　京都・木津川出身

ニカワ ★

【上】インタビューを終え、ホー・チ・ミン主席（右から２人目）と話す柳沢さん（右端）＝株式会社日本電波ニュース社提供故
【下】柳沢恭雄さんについて調べた成果が掲載されている機関誌「やましろ」２９号と赤塚さん（奈良市）
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　不屈のジャーナリストでＮＨＫ解説室主幹だった京都府木津川市山城町上狛出身の故柳沢恭雄さんを地元で知ってもらおうと、上狛出身の研究者が文献などを調べて地域誌で発表している。柳沢さんには終戦の日、戦争を続けようとクーデターを起こした陸軍の一部に決起放送を流すよう要求されたが、拒否した逸話が残る。研究者は「地元にこのようなすごい人がいるのに知られてこなかった」と今後もさまざまな形で紹介する考えだ。

■終戦の日、畑中少佐の決起放送拒否

　柳沢さんは、１９４５年８月１５日、日本放送協会報道部副部長として東京・内幸町の放送会館にいた。クーデターを起こした陸軍の一部は無条件降伏を伝える昭和天皇の玉音放送を阻止し、決起について放送させようと放送会館に押し入った。その際、柳沢さんは現・京丹波町出身の畑中健二少佐に拳銃を突き付けられたが、拒み通したとされている。このクーデター未遂は映画「日本のいちばん長い日」でも描かれた。

　柳沢さんは、戦後のレッドパージで日本放送協会を追われた後、日本初のテレビニュース通信社・株式会社日本電波ニュース社を１９６０年に創設した。６２年にはベトナム民主共和国（北ベトナム）のハノイで当時のホー・チ・ミン主席にインタビューするなどジャーナリストとして活動し、２００７年に９８歳で亡くなった。

■同郷の研究者、成果を機関誌に発表

　同じ上狛出身で教育史学が専門の元天理大教授、赤塚康夫さん（８１）＝奈良県生駒市＝は、地元で柳沢さんのことを知ってもらいたいと長年考えていた。柳沢さんの著書や文献を調べるなどしてまとめた成果を、城南郷土史研究会（事務局・木津川市山城町）の機関誌「やましろ」で発表することにした。

　今春発行された２９号では、文献ごとに異なる終戦時の放送会館での様子を赤塚さんが独自に解釈した。年内に予定される３０号では、柳沢さんの生い立ちを中心に山城の地域性が反骨精神を生んだ土壌になったことを記す予定だ。

　赤塚さんは「柳沢さんの父親は初代上狛町長で、米騒動などの対応に追われる一方、小作農と膝をつき合わせて話し合うなど弱者目線での対応をしていた。彼の反骨精神は、社会の理不尽に苦しむ民衆を身近で見ていた山城地域で養われたのではないか」とみている。

http://kyoto-np.co.jp/top/article/20160822000075

【社会】「終戦の日、畑中少佐の決起放送拒否」 不屈のジャーナリスト、柳沢恭雄さんを知って 京都・木津川出身

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