【静岡】世界遺産登録で見学者５倍、「トイレ不足」深刻

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世界文化遺産に登録された韮山反射炉（静岡県伊豆の国市）で、見学者の急増に伴って「トイレ不足」が深刻化している。
これまで近くの土産物店がトイレを見学者用に開放し、市は今年度、仮設トイレを設置したが、昨年度の約５倍に上る見学者に追い付かない。
大型トイレ施設の完成は今年１２月で、それまでどうしのぐか、地元は頭を痛めている。

　見学者数は２０１０年度に５万人弱だったが、１１年度以降は登録に向けた動きで注目が集まり、１４年度は１０万人台に到達。
今年度は当初２５万人程度を見込んでいたが、昨年１２月に５０万人を突破した。

　そんな中、トイレ不足は深刻だ。土産物店は男女各約１０人のトイレを開放し、市は昨春、夏の登録を見据え、近くの駐車場に仮設トイレを設置した。
これで、２５万人程度には対応できると考えていた。

　しかし、観光バスの到着が続くと、トイレはパンク状態になる。
土産物店の経営者男性（５５）は「流水の供給が間に合わない。『水流が弱い』『汚れている』とクレームもある。反射炉の印象を損ないたくないので何とかしたい」と語る。

　市は昨年１２月上旬、反射炉入り口に男女計５人分の仮設トイレを増設した。
ただ、市世界遺産課の職員が「イメージの悪い仮設は敬遠されがち」と嘆くように、相変わらず利用は土産物店のトイレに集中している。

　反射炉の敷地内に大型のトイレ施設を整備するには、国指定史跡のため、文化財保護法の制約がある。
市は大型トイレ施設を備えたガイダンス施設を建設しているが、完成は約１年先だ。
仮設の増設はすぐできるが、市は「景観上、これ以上増やしたくない」とする。

　２月の河津桜のシーズンは、さらなる見学者増が予想される。
店側はその前に、流水の強化工事を行う考え。
市世界遺産課は「清掃の徹底などで仮設の利用を増やせないか検討したい」としている。（大須賀軒一）

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見学者の急増した韮山反射炉と、設置された仮設トイレ（手前）

2016年01月16日 09時59分
http://sp.yomiuri.co.jp/national/20160114-OYT1T50055.html