【国際】タイのミャンマー国境地帯に建つ「超親日・戦争博物館」を訪ねた　70年前の友情を次代に伝えるため、日本兵の遺留品を展示 [11/23]

★70年前の友情を次代に伝えるため、500点以上の日本兵の遺留品を展示
タイのミャンマー国境地帯に建つ「超親日・戦争博物館」を訪ねた
（SAPIO 2015年12月号掲載） 2015年11月23日(月)配信

文＝善理俊哉（ノンフィクションライター）

タイのミャンマー国境地帯。観光客も訪れない辺境に、現地民と戦前の日本軍との交流を展示した
博物館があった。ノンフィクションライター・善理俊哉氏が現地を訪れた。

昨今、成長市場として注目を浴びる東南アジア。なかでも一足早く経済発展を遂げたタイからは、
いまや年間60万人以上の観光客が日本を訪れるようになった。

この国と日本の関係性は、日本が「大東亜共栄圏」の構築を目指し、アジア大陸で列強諸国と
交戦を繰り返した第二次世界大戦の時代も悪くなかった。当時、東南アジアで唯一、
欧米の植民地支配を逃れたタイでは、日本と交戦したことも、戦後に中国や欧米の史観に流されて
日本を否定的に見たこともほとんどない。逆に、戦時の日本軍の健闘を称える姿勢さえしばしば取ってきた。

１９５５年６月、元タイ駐屯軍司令官だった元・日本軍中将が国賓待遇で招待された際には、
のちの首相であるククリット・プラモート氏が以下の言葉で歓迎している。

「（大東亜戦争という）難産で、日本というアジア独立の母は母体を損なったが、
今日、アジアの諸国民が米英と対等に話ができるようになった。終戦記念日は我々の大切な母親が、
病の床に伏した日であることを忘れてはならない」

もちろん、抗日活動が皆無だったわけではないが、現在でも、日本への視線は温かい。

http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/sapio-20151123-01/1.htm

首都バンコクから北６９０kmにある第二の都市チェンマイでは、第二次世界大戦中、
大半の寺院に日本軍が駐屯し、野戦病院が敷かれていた。市内のムーンサーン寺院では
日本人兵士の遺留品が多く展示され、終戦記念日の８月15日の午後2時（日本時間の正午）に、
犠牲者への黙祷と慰霊祭が10数年前から行われている。

寺院にある遺留品は水筒、毛布、飯ごう、鉄かぶと、兵器、注射器、工具などの収納箱、
タイ料理に欠かせぬ調味料となった味の素など。これらはチェンマイと県境を接する
メーホーソンの南部クンユアムで警察署長を務めていたチューチャイ・チョムタワット氏が
集めたものである。

これらの遺留品の大半は、チェンマイから北西に３８０km離れたミャンマーとの国境周辺にある
戦争博物館『タイ日友好記念館』で展示されているという。その友情の証しを確かめるべく、
筆者は、クンユアムに足を踏み入れた。

クンユアムにはかつて、第15師団「祭」の部隊や、第21師団工兵隊などが兵站基地として駐屯した。
日本軍はここからミャンマー（ビルマ）へ進攻。多数の戦死、戦病死者を出した「インパール作戦」
（＊１）で瀕死に追い詰められた際も、大勢の日本人兵士がここへ引き返し、村人たちの介護に助けられている。

村では結局、７０００人の日本兵が息を引き取ったが、彼らの遺留品を村人たちは大切に保管し続けた。
同地に赴任したチョムタワット氏がそれに感銘を受け、96年に私費を投じて記念館を開設する。

＊１　日本軍がビルマからインドの拠点、インパールに乗り込んだ作戦。敵の攻撃だけではなく飢え
や伝染病にも襲われ、参加した約10万人のうち、まともに帰還できたのは１万人程度といわれている。

http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/sapio-20151123-01/2.htm

博物館の外には、『戦友よ安らかに眠れ』と刻まれた慰霊碑があり、いすゞやトヨタが製造した戦時の軍用車の
残骸が並んでいる。ここまで来る外国人旅行者はほとんどいないが、入り口の名簿には多くの日本人が来訪を書き記し、
英霊の安らかな眠りや、タイへの感謝をつづってある。

館内に入ると、まずはミニシアターへ誘導され、この地に住む山岳民族に、70数年前の日本人兵士たちがいかにして溶け込み、
団結心や愛を育んだかが、映像で紹介される。 (以下略)

http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/sapio-20151123-01/3.htm

【国際】タイのミャンマー国境地帯に建つ「超親日・戦争博物館」を訪ねた 70年前の友情を次代に伝えるため、日本兵の遺留品を展示 [11/23]

【国際】タイのミャンマー国境地帯に建つ「超親日・戦争博物館」を訪ねた　70年前の友情を次代に伝えるため、日本兵の遺留品を展示 [11/23]