【社会】関東・東北豪雨による『太陽光パネル被災』と再発防止策を再エネＦＩＴ改革の論点に追加せよ！[09/13]

★関東・東北豪雨による『太陽光パネル被災』と再発防止策を再エネＦＩＴ改革の論点に追加せよ！
石川和男 2015年09月12日 18:29

昨日、経済産業省の再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会は、第１回会合を開き、
太陽光や風力など再エネの固定価格買取制度（ＦＩＴ）の改革について検討を始めた。
再エネの普及を引き続き促進しながら、国民負担は極力抑えるための方策を模索するという方向。
（これに対する私の提言は別に寄稿（再エネ「安上がりな導入促進策」：ＦＩＴ改革に必須の５項目）
したので、適宜されたい。）

この経産省小委が始まる前週の今月６日、毎日新聞は「＜太陽光発電＞業者、無許可で危険斜面掘削　
和歌山の山林」との記事を配信した。その趣旨は次の通り。

《記事要旨》
・土砂災害警戒区域に指定されている和歌山県紀美野町の山林で、大阪市の事業者が太陽光パネル
設置工事をした際、無許可で斜面を削るなどしていた。

・県は業者に文書指導や是正勧告を繰り返しているが、斜面補強などの対策は取られていない。
自然エネルギー利用促進が災害リスクを高める事態になり、県は設備の撤去命令なども検討。

・同町は２０１１年９月の紀伊半島豪雨で死傷者はいなかったが、土砂崩れが多発。

・県砂防課「現場はそもそも地滑りが発生してもおかしくない地形。斜面を削るのは大きな問題がある」。

・斜面裏手に住む女性は「雨が降ると斜面の下の方の沢はかなりの水量になる。周辺は高齢者ばかりで、
何も起きてほしくない」。

・業者は「危険のある区域とは知っていたが、開発に制限があるという認識がなかった。
斜面の掘削は、任せていた工事業者が勝手に削ってしまった。善処するつもりだが、めどは立っていない」。

この記事は数日前に起こった関東・東北豪雨の直前に配信された記事だが、奇しくも、この記事に
書かれたような懸念が、配信直後の関東・東北豪雨で現実のものとなった格好。今回の関東・東北
豪雨は甚大な被害をもたらしたが、太陽光パネルの被災に関してはマスコミの関心事となったようで、
今までのところ、次のような報道があった。

・１１日付け毎日新聞ネット記事「関東・東北豪雨：太陽光装置設置工事で堤防削られる　常総」
・１２日付け朝日新聞ネット記事「決壊の街、泥の海　堤防輪切り「信頼していたのに」　常総・豪雨災害」
・１２日付け朝日新聞ネット記事「浸水の太陽光パネル、近づくと感電の危険」
・１２日付け読売新聞ネット記事「浸水した太陽光発電設備、触らないで…感電恐れ」
・１２日付け日本経済新聞ネット記事「鬼怒川「越水」発生地点、業者が昨春掘削　土のうで応急処置」
・１２日付け日刊スポーツ「越水「人災だ」住民反対押し切りソーラーパネル設置」

この過程で、Twitterなどネット上では、太陽光パネルの設置が堤防決壊の原因か、越水の原因か、
いや何の原因でもない！等々に関する根拠不明のコメントが飛び交った。こうした疑心暗鬼は
よくあることだが、上記の１２日付け日経記事では、「鬼怒川で水が堤防を越える「越水」が発生
した部分を昨年春、土地を所有する民間事業者が太陽光パネル設置のため掘削していたことが分かった」、
「国交省担当者「『越水』と掘削の因果関係は不明」」と報じている。

福島第一原子力発電所は、２０１１年３月の東日本大震災による大津波の被災者であり、その被災直後に
放射能漏れを起こして加害者となった。この記事の太陽光発電所は豪雨の被災者であるが、現時点では
越水との関係はわかっていないので、何らかの加害者扱いになるかどうかもまだわからない。

いずれにせよ、今後、原因究明と再発防止策の構築に注力すべきだ。上記の経産省小委では、
再エネＦＩＴ改革の具体策の一つとして、今回の太陽光パネル被災を教訓とした再発防止策を建立されたい。
罷り間違っても、福島事故後に巻き起こった“原子力即ゼロ”論のような、短絡的な“太陽光即ゼロ”
論が世の中を席巻しないように注意していくべきだ。

以下の画像は、上記の１１日付け毎日新聞ネット記事中の動画の一部を転載したもので、ご参考まで。

http://livedoor.blogimg.jp/kasumigaseki_soken/imgs/3/6/36c527cc-s.png
http://livedoor.blogimg.jp/kasumigaseki_soken/imgs/0/e/0e08bf07-s.png
http://livedoor.blogimg.jp/kasumigaseki_soken/imgs/5/0/500d0575-s.png

http://blogos.com/article/133591/