【研究】「英語脳」には男女差あり!? 首都大学の研究結果が示唆するもの

ひろし ★

首都大学東京大学院人文科学研究科／言語の脳遺伝学研究センターが17日、興味深い研究結果を発表しました。
小学生の英語学習時の脳活動を計測したところ、男女間で脳活動に顕著な差が現れたそうです。
英語学習の方略（取り組み方）に、男女で大きな違いがある可能性が指摘されています。
◆小学生の英語学習時の脳活動を計測

今回の発表は、首都大学東京大学院人文科学研究科／言語の脳遺伝学研究センターの萩原裕子教授と
杉浦理砂特任准教授らの研究グループによるもの。
小学生（6～10歳）の小学生484人を対象に、日本語および英語の単語復唱時の、脳の活動を調べました。

この調査では、近赤外線を使用して脳の血流状態を調べる「光トポグラフィー」という器機を使い、
学習時における脳表面の血流を計測しました。具体的には、日本語と英語のそれぞれにつき、
出現頻度の異なる2種類の単語（高頻度語と低頻度語）のリストを用意し、合計4種類の単語を復唱するという課題を実施しています。
◆今回の調査でわかったこと

この調査でわかったことをかいつまんで言うと、下記のようになります。

【男女共通】
英語を処理する時と日本語の処理する時では、脳の特定領域の活動に差がある。
具体的には、英語の処理時は「ウェルニッケ野」「角回」「縁上回」と呼ばれる領域の活動が、日本語処理時よりも低くなる。

【男女差あり】
男子では、英語復唱時に角回・縁上回を含む言語関連の領域が広く活性化する。
これに対し女子では、角回・縁上回の活動はほとんど見られず、言語に関わる部位を部分的にしか使用していない。
◆同じ成果を得るための方法が男女で異なる

つまり、単語を正確に復唱するために、男子は女子よりも脳のより広範な領域を使用していることがうかがえます。
特に男女差が大きかった角回・縁上回は、音声言語情報の処理に関係していると考えられている領域です。

また、この男女差は学習初期にはあまり見られず、学習を始めてから時間が経過し、
習熟度が上がるにつれて顕著になったと言います。さらに、この傾向は使用頻度が高い語や親しみのある語を復唱する時のみに現れたそうです。

以上のことから、男女が同じ程度の学習成果を得ている場合でも、学習の方略（脳の使い方）が男子と女子では異なることがうかがえます。
◆未来の英語の授業は男女別々？

少々話が難しくなりましたが、この研究成果が示唆するのはどんなことでしょうか？
　それは、外国語の習得において、男子と女子では「効果的な学習方法」が異なるという可能性です。

英語の学習全般において男女差があるかどうかは、まだわかっていません。
しかし、今後のさらなる研究結果次第では、未来の小学校や塾の英語の授業は、
男子と女子が別のクラスに分かれ、異なる方式で行われるといったこともあり得るかもしれませんね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150820-00010003-mocosuku-hlth