【社会】故郷の朝鮮半島を捨て、日本に逃げて来た在日コリアン男性詩人「日本は被害に遭った側の痛みと向き合ってほしい」［08/14］

★＜７０年談話＞「支配認め、信頼される日本に」在日詩人
13:10毎日新聞

安倍晋三首相は１４日夕、首相官邸で記者会見し、戦後７０年談話を発表する。
日本統治下の韓国・済州島で育った在日コリアンの詩人、金時鐘（キム・シジョン）さん
（８６）＝奈良県生駒市＝は「日本人には過去の植民地支配の事実を知り、被害に遭った側の
痛みと向き合ってほしい。そうすれば国際社会でもっと信頼される国になる。
談話にも、近隣諸国の人々の気持ちへの配慮が必要だ」と話す。

「夕焼け小焼け」など日本の童謡を口ずさんで育った。日本語が得意で、
「日本の恩恵で朝鮮も近代化される」と信じた。

１９４５年８月１５日。「解放」を喜ぶ人々の間で、自分だけが取り残された気がした。
日本統治以来の行政機関に代わり、朝鮮の青年らが行政の窓口業務の立ち会いなどを務めた。
「この国は何もできない」と思い込まされていたことが、誤りと気づいた。

植民地支配への反発を押し殺していた父母の心情にも思いが至った。父は日本語に練達していたが、
話すことはなかった。日本からの独立運動に参加し、故郷を追われた過去があったことも知った。

過去を取り戻すように、朝鮮語を学び直し、朝鮮半島を南北に分断する政策に反対する運動に
のめり込んだ。大韓民国樹立前の混乱期。南部のみの独立を目指す臨時政府側から弾圧を受ける身となり、
命の危険も迫ったため故郷を捨て日本へ。大阪などで工場勤務や高校の教員をし、在日として生きてきた。

強制連行や徴用などでつらい思いをした人のような経験はない。それでも故郷や家族に背を
向けてきた幼い自分の姿が、美しい日本の歌と一緒に思い出されるたびにいたたまれなくなる。
「私にとって植民地は『優しい歌』でやって来たんだね」。口ずさむ童謡に朝鮮の歌はない。

侵略を否定するような政治家の発言が報道されるたび胸が痛む。植民地支配や侵略を謝罪した
村山談話について、安倍首相も「内閣として、そのまま継承しているわけではない」
「侵略の定義は定まっていない」と発言した。国民から大きな反発が出ないことも、
「アジアの人々に不安を与えている」と感じる。「何度も謝罪を求めているわけではない。
ただ、過去にあったことを認め、それを覆したりすり替えたりしないでほしい」【田辺佑介】

【略歴】金時鐘（キム・シジョン）　１９２９年、釜山生まれ。７歳で済州島に移り、
教員養成の中学在学中に「解放」を迎えた。４９年に来日し、日本語による詩作を続ける。
８６年随筆集「『在日』のはざまで」で毎日出版文化賞。２０１１年詩集「失（な）くした季節」で高見順賞。

http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20150814k0000e040220000c.html

「首相談話」について思いを話す金時鐘さん＝奈良県生駒市で２０１５年８月６日、三浦博之撮影
http://img.news.goo.ne.jp/picture/mainichi/m_mainichi-20150814k0000e040220000c.jpg

【社会】故郷の朝鮮半島を捨て、日本に逃げて来た在日コリアン男性詩人「日本は被害に遭った側の痛みと向き合ってほしい」 ［08/14］

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