【静岡】教師がどういう視点で成績を付けるのか種明かし　浜松市東部中学校で独自方式 [07/20]

★評価基準“種明かし”　浜松東部中で独自方式
2015年7月18日

浜松市東部中学校（南区）では、各教科の単元（テーマ）ごとに、教師がどういう
視点で成績を付けるのか「種明かし」して授業をする新しい教育方法を取り入れている。
楽しい夏休み前に生徒に立ちはだかる「あゆみ（通知表）」も、教師も生徒も納得の
結果で、信頼関係を築くのにも役立っているという。

「今日から新しい単元に入るよ。テーマは短歌だ」

国語科で、教員歴三十二年の花田浩文教諭（５５）が教壇に立ち、声を張った。

授業の狙いや評価方法を書いたプリントを配布する。

「いいかい？短歌には詠む時の決まり事もあるから、しっかり押さえて。
あとは、なぜ作者はそういう心情になったのかも想像していこう。
大まかにこの二点が評価基準になるからね」

東部中では二〇一三～一四年度にかけて、学習指導要領に従い、単元ごとにどんな
知識を身に付けてほしいか、どういう点で評価するかを学校独自にまとめた。
それを基に、横浜国立大教育人間科学部の高木展郎教授（教育学）が監修し、
冊子「学びのプラン」を作成。本年度から冊子に基づいた授業をしている。

中学校の授業は、教師のトークとチョークが中心の「生徒は黙って聞く」のが主流だ。
授業内容を理解できたかはテストの点数で評価されがちだ。

全生徒に配布する「学びのプラン」には単元が終わるごとに、目的を達成できたか
ＡＢＣＤの四段階で「自己評価」する欄を設け、生徒たち自身が自分の理解度を
振り返っている。同時に、教師も指導力を見つめ直せる。

学期ごとに先生が一方的に生徒を評価する従来型ではなく、生徒がどれだけ理解
できたかを日々確認し、教師と生徒が双方向に「学び合う」授業にしている。

冊子は自宅に持ち帰り専用ファイルにとじるため、保護者も今学校でどんな授業を
しているか、教科書を眺めるだけではなく、具体的に分かる。三年間で国社数理英と
音楽、美術、体育、技術家庭の九科目分の冊子ができ、受験勉強にも応用できるという。

二年生の宮川七瀬さん（１４）と勝見天哉（たかや）君（１４）は「『学びのプラン』
を見ると、この単元で何を学べば良いのか見通せる。予習もしやすくなった」と満足そうだ。

数学や理科など「正解」を導きやすい教科に比べ、小説の文章などを読んでいく国語は
「一人一人感じ方は違う。何を学んでほしいか伝わりにくい教科」と花田教諭は指摘する。

その上で、新たな教育方法を「教師が一方的に教えるのではなく、
生徒たちは能動的に学ぶことができている。多くの学校で広がるといい」と話している。

（木原育子）

http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20150718/CK2015071802000098.html

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