【北海道】人口８千人の町、日本語研修事業で活路　“攻めの行政”台湾、タイに拠点 [06/22]

★【地方再考　自治の現場から】人口８千人の町、日本語研修事業で活路　“攻めの行政”台湾、タイに拠点
2015.6.22 08:00

円安を背景に海外からの観光客誘致や地場産品の輸出増につなげるため、
地方自治体の海外拠点が増えている。多くは都道府県や政令指定都市が中心だが、
近年、小規模都市による拠点設置も出てきた。大雪山の山麓にある人口約８千人の
北海道東川町（松岡市郎町長）は台湾とタイに事務所を置いた。人口が１万人に
満たない自治体では唯一で、アジア諸国との交流人口の拡大で活性化を図る。
人口減少社会の中、“攻めの行政”を展開する小さな町の大胆なビジネスモデルを報告する。

■町が世界とつながる

旭川空港から約５キロに位置する東川町。郊外にある専門学校の教室の一室は、
日本語を学ぶ約３０人の台湾やタイの外国人研修生の熱気に包まれていた。
「しれとこ（知床）にいってきました」「あさひやまどうぶつえん（旭山動物園）は
たのしかったです」。教師に続いての復唱が続く。

受講しているのは短期滞在（１～３カ月）で、アジアの外国人を対象に町が平成２１年
から始めた「短期日本語・日本文化研修事業」の受講生。過去に町の専門学校で学んだ
韓国人留学生の提案から始まり、受講者は７年間で１１カ国１１００人を超えた。
同町交流促進課の菊地伸課長は、「台湾や中国からは３０代から５０代までの富裕層が多く、
観光も日本語学習もという人が多い。一方で、ベトナムやタイ、韓国人は若い受講生が
ほとんどで、大学進学を目指します」と話す。

http://www.sankei.com/politics/news/150622/plt1506220010-n1.html

研修費は授業料に加え宿泊施設となる町内の学生会館の寮費と食費込みで
１カ月約１０万円。町は国の留学支援制度を活用した特別交付金を財源とし、
研修生１人当たり毎月５万７０００円の奨学金も支給する。

プログラムには、授業以外に住民との交流による茶道や着付け、剣道などの
文化体験も。町では短期研修に加え、今秋には市町村立では全国初となる
公立日本語学校（６カ月と１年コース）も新たに開校する。

「日本語研修事業は町が世界に向けネットワークを広げることが狙い。
アジアとの交流人口の拡大が地域経済の活性化になり、定住人口の拡大になり、
にぎわいを取り戻した」。松岡町長は意義をこう強調した。

■攻めの「海外事務所」

東川町は豊かな自然環境から写真文化による町づくりを目指し、昭和６０年に
『写真の町』を宣言。「写真甲子園」や「国際写真フェスティバル」などを開催する。
また、定住や移住政策から６年以降は人口も増え、昨年末には目標の８千人を突破した。

http://www.sankei.com/politics/news/150622/plt1506220010-n2.html

だが、「定住者は増えているものの、隣の旭川市に通う住民も多い。　
大企業もない中で、地域活性化に貢献する外国人交流事業は基幹の一つ」と
菊地課長。町は本格的な事業強化に乗りだし、研修生の募集や面接などの
手続きを行う海外事務所を２５年に台湾、２６年にタイに設置した。

自治体国際化協会（東京）によると、人口５万人以下の都市で海外拠点を
持つのは全国で９自治体。うち１万人以下は東川町だけだ。現地企業への
運営委託とはいえ、事務所の維持費は年間１２００万円ほどかかる。
松岡町長は言う。「過去に中国やタイから１００人の研修生を受け入れる
話もあったが、政治的理由でなくなった。維持費はかかるが、安定した
研修生受け入れのためにも海外事務所の役割は大きい」

町は交流事業の定着を目的に、過去の研修生ら外国人１１人をアドバイザー
にし研修生受け入れに関する協議も定期的に続けている。

http://www.sankei.com/politics/news/150622/plt1506220010-n3.html

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