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【経済】「世界が日本に迫る消費税増税」報道の幻

1 :◆CHURa/Os2M@ちゅら猫φ ★:2015/05/28(木) 14:25:35.67 ID:???
★「世界が日本に迫る消費税増税」報道の幻
2015年05月26日(火)16時34分 岩本沙弓

OECDは先日、2年ごとに取りまとめる対日経済報告書を発表しました。「あれ?」と
思ったのはグリア事務総長による公表記者会見の模様を伝えた報道について。日本の主要
メディアが消費税増税に前向きな発言だけをピックアップする姿勢は以前からなので、
さほど驚きはしないのですが、具体的な消費税率について「15%に引き上げるべき」
としたところもあり、「20%程度へ」としていたものもあり、数字がバラバラ。
これはいかに?

実際のところグリア事務総長は正確にはなんと言っていたのか、との疑問がわいてくるわけで、
それ以前の話として、具体的な数字をあげて消費税の引き上げをせよなどと、個人的な見解
ならともかく、仮にも公式記者会見の席で指摘することがあるだろうか?と思うわけです。
というのも税制は国家の主権に関わる大きな問題であり、国外からの直接的な口出しは
内政干渉に該当するというのが国際社会でのいわば通念。余談ではありますが、
2014年消費税が8%に引き上げられる直前にも随分と消費税増税は国際公約と喧伝されました。
消費税が国際公約になるか否か?この内政干渉の問題がネックとなりますから、
そもそも国際公約とするのはおかしな話なのです。

であるからこそ、先日紹介した米国財務省の為替報告書の中でも、消費税増税後の日本の
実体経済の落ち込みはしっかり検証、シビアな分析をしつつも、消費税そのものについて、
例えば実体経済が疲弊しているのだから日本はただちに消費税を引き下げるべきであるとか、
消費税をなくすべき、といった具体的な提案まで米国サイドが踏み込むことはありません。
米財務省も内政干渉となるのを承知しているでしょうから、税制度についての書き方に
留意するのは当然です。

知り合いの通信社の方にグリア事務総長の発言内容を確認したところ、件(くだん)の
記者会見に実際に出席した記者によれば、会見の場で事務総長ははっきりと数字を言った
訳ではない、とのこと。聞いたこちらも「そりゃ、そうでしょうねえ」としか言えないわけで、
後日OECDのHPでアップされた事務総長の記者会見の内容をあらためて確かめてみました。

The hike in the consumption tax to 10%, which was postponed until 2017, should be
implemented as planned. Even at 10%, the rate will remain about half the OECD average!
Further revenues could come from raising the consumption tax closer to the OECD average,
as well as broadening the personal and corporate income tax bases and increasing
environmental taxes.

2017 年まで消費税の引き上げは見送られたわけですが、10%は予定通り施行されるべきです。
10%でもOECD平均の約半分です!所得税や法人税の課税ベースの拡大・環境税の増税だけでなく、
OECD平均の近くまで消費税を引き上げれば、歳入増を見込めるでしょう。

というのが該当箇所です。この部分を取り上げて消費税増税を15%、20%台に引き上げよと
言ったとするか、あるいは知り合いの通信社の指摘のようにはっきりと数字を言ったわけでは
ないとするか。どう受け取るか個人差があるとするのは簡単ですが、事務総長は10%になっても
OECD平均の半分の税率であるとの事実確認と、各税金を増税すれば歳入増になるという
一般論を述べただけなので、軍配は後者でしょう。 

結局のところ、発信元の通信社がニュートラルに伝えようと思っていても、配信先である新聞社、
メディア関係者が政府や財務省への忖度からでしょうか、原文にあたらないためでしょうか、
掌(たなごころ)を加えてというよりも印象論ありきの状況と察しますが、20%台まで消費税を
引上げよと言った、としてしまう。しかも、課税ベースの拡大の話をするなら、所得税、
法人税も対象としていることについてはほぼスルー。誤訳や超訳を超えて、もはや偏重の域に
達している、この辺りに日本の報道の根本的な問題が見てとれるようです。>>2へ続く

http://www.newsweekjapan.jp/iwamoto/2015/05/post.php

2 :◆CHURa/Os2M@ちゅら猫φ ★:2015/05/28(木) 14:25:57.15 ID:???
>>1より

とは言えメディア批判が本稿のメインテーマではありません。本題の対日経済報告書では
消費税増税についてどのような指摘がなされているのか、一次資料を探ってみましょう。

結論から先に言えば、財源確保のために消費税も含めた税率の引き上げは今後も必要だろう
という表現に留めています。こと消費税に関しては、複数税率を採用すべきではない、
つまり軽減税率への反対というのが実は今回の報告書での主旨であり、その証拠に消費税に
関わる節タイトルは「Japan needs to further raise the consumption tax, while keeping
a single rate (日本は更なる消費税の引き上げが必要、ただし税率は1つに保つべき)」
となっています。

それでも敢えて欧州並みの消費税率という箇所を抽出するなら下記の部分でしょう。

Consequently, if Japan were to achieve its fiscal targets by relying solely on the
consumption tax, the rate would have to converge toward the 22% average in Europe.

結果的に、もし日本が消費税だけに頼るとするなら、その財政目標を達成するためには
ヨーロッパ平均の22%の方向に近寄る必要があるでしょう。

ここで英語原文をよく見ると、高校生の頃に習った仮定法過去の文章となっているのに
気付かれると思います。仮定法過去というのはこうなったらいいなあという、あくまでも
願望を示すもので、現在の事実とは違う状況を示すのに使う表現です。つまり厳密に言えば、
OECD見解として願望を示しているだけで、高校の参考書に沿って解説すれば、
現実には難しい、現実とは逆というニュアンスを含むとしてもよいでしょう。
仮に消費税だけで財政目標の達成をするなら、という非現実的な条件設定をしている
この部分をもってしてOECD平均に消費税率を引き上げろとした、とするのも強引な話です。
ところで、本音が消費税の増税だとしても、なぜこのような回りくどい表現をOECDが
するのかといえば、やはり各国の税制に口出しをすれば内政干渉になるということを承知
しているからでしょう。

さて、OECDも否定する軽減税率について。消費税の標準税率が10%となった際に、
食品について5%の軽減税率を採用すると、税収は3兆3000億円減少、それを相殺するには
結局のところ11.4%まで標準税率の引き上げが必要になることが引き合いに出されています。
複数税率の副作用として税収が落ちる結果、さらなる増税という悪循環に陥ってしまうと
いうわけです。複数税率による徴税力の減退は軽減税率を長らく採用している欧州の例
からも明らかです。

話をわかりやすくするために、敢えて単純な比較をしますが、欧州各国の国税収入に
占める付加価値税収の割合は、非常に大まかに20%〜30%といったところです。
対して日本は消費税5%時代(うち4%が国税)ですでに国税収入に占める消費税収の
割合は約20%となっていました。欧州の付加価値税率に比べて格段に低い日本の消費税率でも、
これだけ徴税力が高いのは軽減税率がないため。報告書の言葉を借りれば単一税率は
「税収を捻出するのに有効」となるわけです。払う側からすれば、低い税率であっても
負担が非常に大きいということでもあります。

他、OECDが軽減税率を否定する理由として、「特に中小企業には高い管理費および
コンプライアンスのコストとなる」こと、「不正手段の機会(opportunities for fraud)
を提供する」こと、「消費の決定を歪曲し、福祉を減少、付加価値税の中立性を減らす」
ことを掲げています。そして、複数税率のメリットは高所得者層が最も恩恵を受ける
として逆進性解消にも効果的ではないとしています。「不正手段の機会」はわかりにくい
かと思いますが、偶然にも以前のワタクシの寄稿がありますので、こちらを読んでいただく
と軽減税率の何が不正手段となりうるのか、税源を浸食し中立性を欠くのかご理解いただけ
るのではないでしょうか。 >>3

3 :◆CHURa/Os2M@ちゅら猫φ ★:2015/05/28(木) 14:26:03.09 ID:???
>>2より

「欧州の失敗に目をつぶる「軽減税率」論のうさんくささ」

軽減税率に賛成している新聞業界だからこそ、都合の悪い内容を封印してしまうのでは?
という声が聞こえてきそうなのですが、それもちょっと違うかなと思っています。
というのも、ワタクシ事で恐縮ですがこれまで随分と日本全国で講演のお声がけを
いただきまして、その主催者の多くは通信社さんであったり、地方紙さんであったり。
当然、消費税や軽減税率の問題もお話しますが、決して少なくない新聞各社の方々が
「軽減税率が新聞離れの根本的な問題を解決するとは思ってないんですよね」と
仰って下さり、問題意識の共有をしてくれます。

失礼を承知の上で、新聞離れの最大の原因は、特に国民生活に深く関わる事象について、
情報を横流しするだけの画一的な内容となってしまうことではないでしょうか。
とは言え、新聞社の看板というのはやっぱり一目置かれる存在であり、ワタクシが
これまでお目にかかった関係者の皆さんはたとえ現場の第一線を退いておられても
記者としての気概も持っていらっしゃるし、情報へのアクセスも素人の我々に比べれば
格段にしやすいはず。読者を惹きつけるために奇をてらう必要は全くなく、一時資料に
沿った内容を公平、中立な立場で報道してもらうという、言うなれば基本に忠実な
報道が玉石混交となったネット社会の現代であるからこそ求められていて、
そこに王道メディアの存在意義があると思うわけです。

今回の場合は、OECD報告書の原文に則して忠実に報道した方が、歳入増を図る
財務省の意向にはむしろ添えたわけではありますが、仮にメディア側が掌を加える
ようなことがあるとするなら、そのエネルギーは別のところで是非とも使って
もらいたいものです。報道に携わる者としての矜持はそのままに。その方がご自身の
精神衛生上も、業界の発展のためにも、そして何より読者のために有効です。
というわけで、記念すべき連載第1回目のメインテーマはOECDの報告書でしたが、
サブテーマは日本のメディア関係者へのエールと致したいと思います。(了)

4 :名無しさん@13周年:2015/05/28(木) 21:11:36.65 ID:aD/QqDwZm
なんか日本の報道は注目度を上げようと思うのか
海外報道をセンセーショナル化することがあるよね
Gender Gap Reportなんかもいつもそう

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