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【経済】「世界が日本に迫る消費税増税」報道の幻

2 :◆CHURa/Os2M@ちゅら猫φ ★:2015/05/28(木) 14:25:57.15 ID:???
>>1より

とは言えメディア批判が本稿のメインテーマではありません。本題の対日経済報告書では
消費税増税についてどのような指摘がなされているのか、一次資料を探ってみましょう。

結論から先に言えば、財源確保のために消費税も含めた税率の引き上げは今後も必要だろう
という表現に留めています。こと消費税に関しては、複数税率を採用すべきではない、
つまり軽減税率への反対というのが実は今回の報告書での主旨であり、その証拠に消費税に
関わる節タイトルは「Japan needs to further raise the consumption tax, while keeping
a single rate (日本は更なる消費税の引き上げが必要、ただし税率は1つに保つべき)」
となっています。

それでも敢えて欧州並みの消費税率という箇所を抽出するなら下記の部分でしょう。

Consequently, if Japan were to achieve its fiscal targets by relying solely on the
consumption tax, the rate would have to converge toward the 22% average in Europe.

結果的に、もし日本が消費税だけに頼るとするなら、その財政目標を達成するためには
ヨーロッパ平均の22%の方向に近寄る必要があるでしょう。

ここで英語原文をよく見ると、高校生の頃に習った仮定法過去の文章となっているのに
気付かれると思います。仮定法過去というのはこうなったらいいなあという、あくまでも
願望を示すもので、現在の事実とは違う状況を示すのに使う表現です。つまり厳密に言えば、
OECD見解として願望を示しているだけで、高校の参考書に沿って解説すれば、
現実には難しい、現実とは逆というニュアンスを含むとしてもよいでしょう。
仮に消費税だけで財政目標の達成をするなら、という非現実的な条件設定をしている
この部分をもってしてOECD平均に消費税率を引き上げろとした、とするのも強引な話です。
ところで、本音が消費税の増税だとしても、なぜこのような回りくどい表現をOECDが
するのかといえば、やはり各国の税制に口出しをすれば内政干渉になるということを承知
しているからでしょう。

さて、OECDも否定する軽減税率について。消費税の標準税率が10%となった際に、
食品について5%の軽減税率を採用すると、税収は3兆3000億円減少、それを相殺するには
結局のところ11.4%まで標準税率の引き上げが必要になることが引き合いに出されています。
複数税率の副作用として税収が落ちる結果、さらなる増税という悪循環に陥ってしまうと
いうわけです。複数税率による徴税力の減退は軽減税率を長らく採用している欧州の例
からも明らかです。

話をわかりやすくするために、敢えて単純な比較をしますが、欧州各国の国税収入に
占める付加価値税収の割合は、非常に大まかに20%〜30%といったところです。
対して日本は消費税5%時代(うち4%が国税)ですでに国税収入に占める消費税収の
割合は約20%となっていました。欧州の付加価値税率に比べて格段に低い日本の消費税率でも、
これだけ徴税力が高いのは軽減税率がないため。報告書の言葉を借りれば単一税率は
「税収を捻出するのに有効」となるわけです。払う側からすれば、低い税率であっても
負担が非常に大きいということでもあります。

他、OECDが軽減税率を否定する理由として、「特に中小企業には高い管理費および
コンプライアンスのコストとなる」こと、「不正手段の機会(opportunities for fraud)
を提供する」こと、「消費の決定を歪曲し、福祉を減少、付加価値税の中立性を減らす」
ことを掲げています。そして、複数税率のメリットは高所得者層が最も恩恵を受ける
として逆進性解消にも効果的ではないとしています。「不正手段の機会」はわかりにくい
かと思いますが、偶然にも以前のワタクシの寄稿がありますので、こちらを読んでいただく
と軽減税率の何が不正手段となりうるのか、税源を浸食し中立性を欠くのかご理解いただけ
るのではないでしょうか。 >>3

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