【アジアインフラ銀行】日本の“誠実さ”が米国に裏切られた４４年前の二の舞いを避けよと産経新聞

★【風を読む】日本の“誠実さ”が裏切られた４４年前の二の舞いを避けよ　論説委員長・樫山幸夫
2015.4.7 10:00

４０年以上も前のことをもちだして、現在の問題を論じるのは乱暴とは思いながらも、
ふたつのことがどうしても重なってしまう。

中国主導のアジアインフラ投資銀行（ＡＩＩＢ）の創設メンバーが５０カ国・地域を超えた。
日本は「審査体制に問題がある」などとして、慎重な姿勢をみせている。
日中関係がおかれている状況を考慮し、やはり消極的な同盟国、米国と足並みを
そろえるという判断だろう。

それ自体は妥当だが、「はしご」をはずされてしまわないかという懸念が残る。

思い出すのは、国連における、かつての中国加盟問題だ。

１９４５年の発足以来、「中華民国」（台湾）が安全保障理事会常任理事国の地位を占めていた。
６０年代から、中華人民共和国にその地位を与えるべきだとの機運が各国の間で高まり、
その決議が７１年１０月の総会で可決された。

日本は同盟国の米国を支え、台湾への義理立てから、最後まで決議案反対の旗振り役を担ったが、
実はこの敗北は当初から予想されていた。

というのも、総会に先立つその年の夏、ニクソン米政権のキッシンジャー補佐官が中国を
極秘訪問したことが明らかになっていたからだ。日本へ何の連絡もなく行われた、
世にいう「米中頭越し接近」である。

反対の頭目の米国と中国が握手したとなれば、流れは決まってしまう。
それでも同盟国の米国との信義を守り、台湾への義理立てを貫き通した当時の
日本外交の“誠実さ”には驚くほかはない。

日本の国力が大きくなった現在、米国が、まさか日本の頭越しに中国と何事かをするな
どということはありえまいが、ＡＩＩＢにしても、国益に資すると判断すれば、
すぐにでも参加を決断するだろう。超大国とはそういうものだ。

４４年前の二の舞いを避けるため、米国と連携を密にし、常にこちら側に引きつけておかねばなるまい。

http://www.sankei.com/politics/news/150407/plt1504070004-n1.html

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