【国際】安倍首相がすべきは「仲良し日米関係」を演じることだけではない　「なぜ、日本は戦争しなければならなかったか」根本的な事柄を伝えるべき

★【世界を斬る】安倍首相がすべきは「仲良し日米関係」を演じることだけではない
2015.04.01

安倍晋三首相とオバマ大統領の日米首脳会談が決まった。安倍首相を議会合同会議に招待して
演説を求めた米議会指導者は、首相が明確な日本の外交政策を表明できるか危うんでいる。
米国の保守勢力を代表する政治家が、私にこう言った。

「米議会の指導者が、安倍首相に望んでいることは３つある。１つはＴＰＰ（環太平洋戦略的経済連携協定）
を来年１１月の大統領選挙の後まで伸ばすこと。２つ目は、中国の習近平主席が主導するアジアインフラ
投資銀行（ＡＩＩＢ）は、中国が完全な資本主義体制をとるまでは時期尚早と非難すること。
３つ目は、ロシアのプーチン大統領の侵略的な外交を正面から批判することだ」

この３つはどう見ても、安倍首相には難しいと思われる。友人が編集長をしている雑誌は、
安倍首相の訪米をとりあげたが、「首相は日米関係の重要さを強調する以上のことは話さないだろう」とだけ伝えた。

米議会には、先の議会合同会議でオバマ大統領の中東政策を厳しく批判したイスラエルのナタニエフ首相の
演説と同じような政治的効果を狙っているとの情報もある。だが、安倍首相と日本の政策を見るかぎり、
議会が期待するような外交姿勢をうちだすはずがない。

いずれにしても、ワシントンは今、日米関係どころではない。米議会とオバマ大統領の対立が日増しに
ひどくなる一方で、いまや双方とも感情的に反発しあっている。いまさら、日米関係の強化という
お題目を聞きたい者など誰もいない。

そもそも、任期が２年足らずしかない米大統領に経済大国・日本の指導者がやってくる時期ではない。
国家間の関係が危機的な状態にでもなっているなら、首脳会談も大切だが、平常な状況のもとで
「仲良し」を演じる時代ではない。

安倍首相は、日米安保条約で米国の同盟国になって７０年、日本が新しい時期を迎えていることを
伝えようと、オバマ大統領との会談に踏み切ったようだが、安倍首相が明確にしなければならないのは
イデオロギー的な平和主義ではない。もっと基本的な日本の国家戦略だろう。

韓国の慰安婦問題、中国の南京事件など過去に起きた事象の一つ一つを弁明するのではなく、
「なぜ、日本は米国と戦争しなければならなかったか」「なぜ、当時の日本の指導者が戦争を決断したのか」
といった根本的な事柄について、米側に伝えるべきであろう。

日米関係が重要であるのは当然のこと。だが、日米関係の基本についての考えを米指導者に伝えることは重要だ。
そのうえで、憲法改正や軍事力の強化など重要な問題を米国など世界の人々に納得させることが日本の指導者、
安倍首相の責務だろう。

■日高義樹（ひだか・よしき）　１９３５年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。５９年ＮＨＫに入局し、
ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、
現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150401/dms1504011140005-n1.htm

【国際】安倍首相がすべきは「仲良し日米関係」を演じることだけではない 「なぜ、日本は戦争しなければならなかったか」根本的な事柄を伝えるべき

【国際】安倍首相がすべきは「仲良し日米関係」を演じることだけではない　「なぜ、日本は戦争しなければならなかったか」根本的な事柄を伝えるべき