【川崎】「戦争は殺し合い。日本は戦争に巻き込まれない平和外交をしなければならない」川崎市で歴史聞く会が開催

くじら１号 ★

　かつて高津区は戦場だった－。「たかつ九条の会」の集会が川崎市の高津市民館で開かれた。お年寄りら約五十人が訪れ、
先の戦争を経験した地域の歴史を振り返った。

　「たかつ九条の会」は、講師役となる人を招き、戦争などの話を聞く会を定期的に開いている。七日の会は、区文化協会長の
鈴木穆（あつし）さん（７８）が講師を務めた。鈴木さんはかつて川崎溝ノ口郵便局長で、仕事のかたわら郷土史を研究してきた。

　この日用意した資料には「二子橋が完成し、一九二五年に軍事施設が移転してきた」「四〇年、陸軍の東部六二部隊が梶ケ谷など
一帯を軍用地に買収。一年以内に家屋を解体して移転せよと命令された」などと駐屯の歴史が並ぶ。
　二子橋などのスライドを映し、鈴木さんは「二子橋の橋脚は二十本以上ある。中原区の丸子橋は二本なのに。なぜか。戦車が通るためだった」
と解説。二子の空襲では「農園の温室の上に婦人の首が飛んだ。われわれも見にいった」。

　「日本光学工業（現在のニコン）の津田山の工場が大型戦艦『武蔵』の測距器を作った」などと軍需工場の町になっていたことも紹介。
「区内には日本光学跡地、二子橋、笹の原の子育て地蔵など、戦争にまつわる遺物が散在する。平和を希求するため、これらを記憶にとどめたい」と語った。
　集会では鈴木さんのほか戦争を経験した人が自らの体験を語った。

司法書士の岩崎輝彌（てるや）さん（７５）は、下作延などの空襲で三人の兄を亡くし、その三人を含む被災者計十七人の名前が
笹の原子育て地蔵に刻まれたと話し、「戦争は殺し合い。日本は戦争に巻き込まれない平和外交をしなければならない」と訴えた。　

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20150311/CK2015031102000123.html