【国際】ロシアが北朝鮮に接近、軍事・経済援助強化　米の極東戦略および日本に重大な脅威あるのにオバマ氏は深刻に受け止めず

★【世界を斬る】ロシアが北に接近、軍事・経済援助強化　米の極東戦略および日本に重大な脅威
2015.03.11

ロシアが北朝鮮と軍事協力体制を強化しているだけでなく、大規模な経済援助を行い、
同盟関係を強めている。両国関係は、米国のアジア極東戦略に対抗しているとして、
米国防総省の幹部がいらだっている。

米国防総省の朝鮮問題専門家は、名前を明かさないという条件でこう述べた。

「ロシアは、北朝鮮の金正恩第１書記が今年８月、就任以来初となる外国訪問先として
北京よりもモスクワを選んだことを高く評価している。訪問後、両国は朝鮮半島で共同軍事
演習を行おうとしている。こうしたロシアと北朝鮮の接近は、北が小型核兵器を開発した
という情報とあわせて、米国の極東軍事戦略に重大な脅威を与える」

米国防総省の戦略専門家によると、ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は、まもなく北朝鮮の
国防責任者と会うことになっているが、合同演習の内容は明らかにされていない。
だが、合同演習には日本海での海上訓練も含まれており、米韓の共同軍事演習を牽制する
目的があることは明確だ。

このロシアと北朝鮮の演習に象徴される軍事協力より、さらに重大な意味を持つのは、
ロシアが北朝鮮に与えようとしている大規模な経済援助だろう。ロシアは、中国や日本からの
経済援助をあてにできなくなって疲弊した北の経済を本格的に助けようとしている。

北朝鮮情勢に詳しいワシントンのジャーナリストは次のように話す。

「ロシアは、北朝鮮に対してシベリアから原油や天然ガスを供給するだけではない。
そのための施設作りや港湾、道路などの整備、さらには食料増産の援助も図ることにしている」

また、米国務省筋によると、ロシアは北朝鮮と共同の経済施設を建設し、
そこを経由して北朝鮮だけでなく、韓国にも石炭や原油を売ろうとしている。

ロシアは、北朝鮮が中国の習近平政権や日本の安倍晋三政権から完全に見放されているのをみて、
北をアジア極東での手ゴマにしようと積極的に動いている。軍事協力体制を強化しているのは将来、
９０００キロを超す国境線をはさんで中国と軍事的対立が起きるのを見越して、
北朝鮮を味方につけておこうと考えているからだ。

ロシアは、北朝鮮の核兵器の小型化を助け、日本海や日本に対する核の締めつけを厳しくする
戦略をとり始めている。こうした状況をみて、習近平主席は金正恩氏を今年暮れに北京に
招待すると発表したが、外交戦略上、明らかに後手に回ってしまった。

オバマ大統領は、北朝鮮の核兵器の小型化を真剣に受け止めていない。「小型化に成功した」
と警告した国防総省のフリン国防情報局長を解任し、対北朝鮮戦略の混乱ぶりを暴露してしまった。
プーチン大統領は今後、北朝鮮というカードを使って日本、米国、中国に対し、外交戦略上の
長期的な戦いを展開してくる。

■日高義樹（ひだか・よしき）　１９３５年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。
５９年ＮＨＫに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、
ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150311/dms1503111140007-n1.htm

【国際】ロシアが北朝鮮に接近、軍事・経済援助強化 米の極東戦略および日本に重大な脅威あるのにオバマ氏は深刻に受け止めず

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