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【ISIL人質殺害】国際社会で一定の役割を果たすことを目指す以上、テロは日本にとって他人事ではない 辰巳由紀氏

2 :◆CHURa/Os2M@ちゅら猫φ ★:2015/02/05(木) 13:22:54.34 ID:???
>>1より

むしろ、今回の事件ではっきりしたのは、国際社会で日本が一定の役割を果たすことを目指す以上、
テロは日本にとっても他人事ではないという冷酷な現実ではないだろうか。

「危ないから」といって他国とのかかわりを最小限にし、国際社会でもほとんど顧みられない存在に
なることを望むのか、それとも、ある程度のリスクは覚悟して「国際社会の安定と繁栄」という目標の
ために経済支援など様々な施策を通じて積極的に他国と関わっていくことで、日本の国際社会での地位を
確立していくのか。テロとの戦いが国連総会や安保理をはじめとする、あらゆる多国間会議で取り上げ
られるような重大問題になっている以上、テロにどのように対峙するのかは、国際社会での日本の
あり方として何を目指すのかに直結する大問題なのである。

・世界ではほとんど聞かれない「自己責任論」

第二に、日本政府の日本国民の生命を守る責務についても議論される必要があるだろう。
湯川さんと後藤さんの2人がISILに拘束されていることが明らかになってから、彼らが、外務省がすでに
退避勧告を出しているにもかかわらずにシリアに向かったことに対する「自己責任論」が多く聞かれた。
つまり「渡航勧告を無視して行ったのだから、何が起こっても本人の責任」であり、政府が解決に
国民の税金を使う(例えば身代金を払う)ことについては批判的な議論である。

実は、この「自己責任論」は日本以外の国ではほとんど聞かれない奇妙な議論である。
アメリカでも、海外の危険な場所に政府からの渡航警告にもかかわらずに種々の理由で赴き、
事件に巻き込まれたり、命を落としたりするケースは多い。

なんといっても、昨年8月から9月にかけてISILがその残忍な殺害の様子をビデオで公開した
ジェームズ・フォーリー、スティーブン・ソトロフ両氏は、アメリカ人のジャーナリストだ。
アメリカの国務省も、日本の外務省と同じようにシリアに対しては渡航情報の中で
「全土にわたって危険な地域」という形容をしており、昨年9月12日には渡航警告のレベルを
「シリア国内の米国人は直ちに出国するように。いかなる理由でもシリアへの渡航は控えるように」
というレベルに引き上げている。それでも、殺害されたフォーリー氏やソトロフ氏に対して
「自己責任なのだから」といった批判は全くといっていいほどなかった。むしろ出ていたのは
「米政府は彼らを救出するために軍の投入も含めてできたことがあったのではないか」といった批判である。

一見、当たり前に見えるかもしれないが、「自己責任論」には「本当に非難されるべきは誰なのか」
という視点が完全に欠落している。さらに、「日本国内に住んでいない日本人」に対する同胞意識の
薄さもにじんでいる。「いかなる理由であれ、海外でトラブルに巻き込まれた日本人の身柄の安全を
確保するために最大限の努力をするのが日本政府の国家としての責任ではないか」という視点からの
議論がもっとされてもいいのではないだろうか。

・日本の「国家としてのあり方」を考える議論を

また、今回の事件を契機に「自衛隊にも特殊作戦能力を」「海外諜報機関の設置を」といった議論も
噴出しているが、これにも注意が必要だ。自衛隊が海外まで日本人を救出に行くことができるように
なるためには、ただ、自衛隊法を修正すればよいというものではない。そのために必要な能力を取得
するための訓練や、人事面での見直し、必要な予算の確保など、様々な措置が必要になる。
情報機関の再編についても同様だ。前掲の「日本はどのような国家であろうとするのか」を考えて
いく上で、その中での自衛隊や対外情報機関の役割について大局的な観点から考えていく際に議論
されるべき問題だ。一時の感情に任せて、対症療法的な視点から議論するべき問題ではないだろう。

いずれにしても、今回の湯川・後藤両氏の拘束・殺人事件は、日本政府だけでなく日本国民に対して
「積極的平和主義」への覚悟が今一度問われた事件であるといっていいだろう。今回の悲劇を受け、
今後、日本国内でどのような議論が行われるのか、期待したい。(了)

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