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【経済】WTO敗訴「無視」の中国と、どうつきあうか 「レアアース国際紛争」敗北でも、国内論理を優先

1 :◆CHURa/Os2M@ちゅら猫φ ★:2014/09/19(金) 14:15:46.17 ID:???
★WTO敗訴「無視」の中国と、どうつきあうか 「レアアース国際紛争」敗北でも、国内論理を優先
中村 繁夫 :アドバンストマテリアルジャパン代表取締役社長 2014年09月19日

前回は、「日本が中国に『貿易戦争』で勝った日」というコラムを書いた。「レアアース紛争」から約4年。
中国の「WTO敗訴」が確定的になったことの意味を、読者の皆さんにぜひお伝えしたかったからだ。

実際、8月28日に中国のレアアースでのWTO敗訴が最終決定した。実はこの敗訴決定直後、
中国で大きな「国際レアアース会議」が中国で開催された(9月10日〜12日、四川省・成都)。
筆者は、同会議から招聘され、パネリストの一人として参加したので、この会議の模様を通じた、
「WTO敗訴後」の中国の考え方などをお伝えしたい。

■終始「被害者」を強調した中国
レアアース会議の参加者は総計で170人以上だった。そのうち、中国人以外の外国人参加者は約70名前。
ただし中国人出席者は登録をしないということなので、正確な参加人数の把握は不明。会議では商務省の
代理でチェアマンを務める、「中国五鉱化工進出口商会」のYinan Liu氏の基調講演で始まった。

Liu氏の挨拶は「WTO裁定での中国敗訴は、中国国内事情が理解されず 誠に残念」だった。
続けて「資源と環境の保護のためには、希土類資源の輸出制約は仕方がない」と強調。
いきなりのWTOのフェアな貿易ルールを一切無視した論調に、外国人参加者はいささか白けたようだった。

簡単に、主な報告とパネルディスカッションの模様を説明しよう。まずは豪州の著名なレアアース
評論家・ダッドレー・キングスノース教授が、レアアース市場の動向について語った。氏によると、
レアアースの需要は2013年の11.5万トンが、2020年には19万トン(65%増)に、一方の供給面では
2013年の11万トンが2020年には20万トン(82%増)になるという予想を出してきた。需給は一部
緩むものの、中国以外の資源の開発が進んでも、「中重希土類」の不足は残るだろう、との見方もあった。

また、中国がWTO裁定をどのようにとらえるかという問題に対しては「予測できない」との見方を示した。
WTOの裁定を重要視して、「中国のレアアース業界での統合による国際化と、中国以外の資源国との
バランスが重要」と強調。だが、結局は「中国に振り回される構造から脱却できない」というのが、教授の結論である。

■国家ぐるみで「価格操作」、WTOの敗訴は無意味か
実際、中国側の見方は明快だ。 多くの中国の企業は「WTO敗訴の影響は全くない」との見方が大勢を占める。
その理由はWTOの敗訴に従ってEL(輸出ライセンス)制度や輸出税を廃止しても、所詮「国家支配」の中では、
あまり変わらないということだ。

すなわち、中国では、資源税の導入が確実視されている。また希土類を扱う企業を統合すれば、
逆により支配力が強化され、価格支配も総合的に対応できてしまうからだ。もしそうなれば、
「国家ぐるみで価格操作をする」といっているような話で、国際貿易ルールも何もあったものではない。

中国「包頭希土類取引所」のGu Ming総経理の発表も、かなり私を不安に陥れた。内モンゴル自治区の
包頭市で、レアアースの専門取引所の開設が秒読みに入ったというのだ。中国各地で、こうした取引所の
設立が予定されていることを前に書いたが、実は内モンゴル自治区の包頭市は、世界最大の希土類鉱山である
「パイユンオーボー」がある場所で、中国最大のレアアースの生産基地となっている。

ここに包頭希土類取引所がスタートすると、世界のレアアース市場のプライスリーダーとなる可能性さえある。
そうすると、どうなるか。中国国政府の価格操作(マニュピーレーション)に加え、取引所による投機
(スペキュレーション)が行われる懸念もなくはない。ただでさえ不安定なレアアース市場が、
さらに秩序を失う危険性もあるのだ。

Gu Ming総経理は「市場価格の透明性」を盛んに強調していた。だが、わずか12万トン(ロンドンのLMEの
銅市場は160万トンを扱う)しかないコモディティー取引のリーディング市場を目指す、というのだから
恐れ入るとしか言いようがない。

基調講演が終わった後は、パネルディスカッション。ここでは4つのテーマが議論された。簡単にまとめよう。
>>2へ続く

http://toyokeizai.net/articles/-/48420

2 :◆CHURa/Os2M@ちゅら猫φ ★:2014/09/19(金) 14:15:53.34 ID:???
>>1より

■実質的にあまり変わらない?中国にどう対処すべきか
まず第1は「レアアースの価格」について、である。現在、レアアースの価格は暴騰後に暴落、
この約3年底値圏にある。中国企業の意見はこうだ。「資源の価値が正当に評価されないのが底値から脱しない原因だ」。

一方、私は「レアアース産業では資源が重要なのではなく、新規用途の需要開発がない限り、
レアアース原料の付加価値は出てこない」ことを指摘した。残念ながら、中国関係者の多くの発想は
「資源を囲い込むことしか考えが及ばない」ため、「原料を不当に安い価格で供給させられている」
今の市場に、不平と不満を感 じていた。

第2は、「急な価格変動をどう回避するか」。そもそも中国側の考え方には、投機なども認められている
自由取引の枠組みの中でやっているのだから、問題ないという考え方がある。また商務省の介入や、
外交カードにレアアースを利用する発想がある限り、価格の乱高下は今後も回避できないとの懸念が
残ったままだ。私は、「需要側と供給側が共存共栄できる市場構造を目指すしか、価格安定の道はない」と発言した。

第3は、「WTO紛争後、廃止することになったEL(輸出ライセンス)制が実際なくなったら、どんな影響が出るか」である。

私の予測では、実際は、商務省は出来るだけEL制度を外す時期を先延ばしにして、その間に資源税を導入 、
事実上安値で取引できないように中国の国内市 場の支 配を強化するのではないかと思う。

結局、海外の資源企業は経済合理性の範囲の中で価格競争力を強めるしか方法はないかもしれない。
もし、中国側がWTO裁定を受け入れた柔軟な新政策を打ち出さないようなら、共存共栄ができず、
大手レアアース企業の倒産も今後視野に入ってくるかもしれない日本の産業界も、従来からの方針
(資源確保、3R運動、代替材料の開発など、国家備蓄)を愚直に進めるしかない。

最後の4つ目は、3つ目ともからむが、「もし中国以外の資源開発企業が、資源開発に失敗したら」
というものだ。これは「米国のモリコープ、豪のライナス社という2大企業が万一破綻したら、どうなる」
という問題設定にかなり等しく、ディスカッションは一般論に終始して終了した。

会議のコーヒーブレイクの時間に、私は何人かの中国人経営者と立ち話をした。意識的に WTO判決の話を振ったが、
ほとんどの経営者が「日欧米の陰謀によってEL制度と輸出税が廃止させられるので、零細レアアース企業は
倒産してしまうから大変だ」といった話ばかり。完全に行政からの通達を繰り返しているようにも見えた。

彼らのもっている情報では、今後政府は(発展改革委員会など)の指導により、レアアースの企業グループを
6つに集約、経営の強化を図るとのことだった。つまり、今後も実質的に政府が指導価格を内部決定、
一段の独占経営に持ち込む可能性があるらしい。

最終日の「ガラディナー」では、外国人ばかり70名の参加があった。なぜか中国人のパーティー会場は
別の場所に設営されていたらしく、その会場は中国人参加者ばかりで入りきれないほどの盛会だったと後で聞いた。

実は、私自身も中国で経営しているレアアースの合弁企業の副董事長であり、「中国側」の宴会にも誘われた。
だが折角、豪州のライナス社や欧米各国の友人たちが来ているので、非中国系のパーティーに参加した。
こんなところにも、中国のレアアース産業の「協調性の欠落」に、違和感を感じた。

結局、今回の会議にいえることだが、中国のレアアースの産業政策と対外政策に関するリーダーは不在だ。
国際社会への協力体制も実体面が伴わず、綺麗ごとばかりに終始している。

レアアースだけでなく、需要側と供給側が共存共栄してこそ、市場は安定するものだ。
私はこのコラムの中で、常に中国に向かって「ただすべきことはただしてほしい」と率直にモノを申してきたし、
これからもそうするつもりだ。それこそが真の友情につながると考えるからである。
しかし、残念ながら、レアアース市場の安定的な発展には、しばらく時間がかかりそうだ。 (了)

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