【社会】和歌山城の石段にハートマークと男女の名前…相次ぐ文化財への落書き

幽斎 ★＠＼(^o^)／

和歌山城の石段にハートマークと男女の名前…相次ぐ文化財への落書き
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和歌山城で６月、城内の石段が削られて落書きされるという痛ましい事件が発生した。

　和歌山城で落書きが判明したのは初めてといい、和歌山市は和歌山県警和歌山西署に被害届を提出、
同署が文化財保護法違反容疑で捜査を進めている。この石段は、ユニークな姿からテレビ番組でも
取り上げられたほどの撮影スポット。心ない犯行に、市の担当課は憤りを隠さない。（秋山紀浩）

　■テレビ番組で放映
　石段への落書きが判明したのは６月１８日午後３時ごろ。城内の裏坂入り口付近の石段に鋭利なもので
削ったと思われる落書きがあるのを、登城サポートに取り組む「おもてなし忍者」のメンバーが発見した。
　落書きは、幅約３６センチの範囲に男女の名前とハートマークが書かれていた。傷は深くないため石段自体の破損は進まないとみられ、そのままの状態にしている。
　和歌山城整備企画課によると、落書きがあったのは「雁木（がんぎ）」と呼ばれる江戸時代に積まれた砂岩の石段。
後世に手が加えられておらず、近世の築城を示す歴史的価値が極めて高いという。
　この石段、木の根っこが石段を登る人の姿のように見えることから、平成２２年８月にテレビ番組「ナニコレ珍百景」で
紹介されたこともあり、隠れた撮影スポットとして知られる。「犯人はここの存在を知った上でやっているとしか思えない」と市の担当者は話す。

　■文化財落書き県外でも

　許されざる文化財への落書きは、全国的にも後を絶たない。
　世界遺産・法隆寺（奈良県斑鳩町）の国重要文化財の土塀「西院大垣」では昨年１１月、
「殺すぞボケ」「ヒマやね」と刻んだ落書きが見つかった。地面から約１メートル付近に２つあり、先のとがったもので引っかいたとみられ、深さは最大約６ミリに及んだ。
　同じ近畿地方の世界遺産・姫路城（兵庫県姫路市）でも平成２１年、乾小天守（国宝）３階の木製の窓枠で
落書きが見つかった。女性の名前とみられる落書きや「５」「ｇｏｏｄ」などの跡があったという。
　「旅の記念に」と軽いつもりでの落書きも考えられるが、れっきとした犯罪行為。
重要文化財を損壊し文化財保護法違反に該当することになれば、懲役刑が科されることも考えられる。

　■防犯カメラ設置も
　和歌山城整備企画課によると、天守閣の入場者数は平成２５年度に１８万９４９７人。年々増加傾向にあり、外国人観光客からも人気となっている。
　同課は対策として、新たに城内に防犯カメラを設置することも検討しているという。
しかし、和歌山城は周囲の公園全体を含めて史跡で、広範囲をカバーするのは限界があるという。
　担当者は「まずは『落書きをしてはいけない』というモラルの向上が一番大切」と話し、
「地域の貴重な歴史的遺産を後世に残すためにも、二度としないでほしい」と強調した。
　【文化財保護法】　昭和２４年１月、奈良県斑鳩町の法隆寺金堂壁画が火災で焼けたのを機に、
文化財への保護意識が高まり、２５年５月に文化財の保存・活用と国民の文化的向上を目的として制定された。
落書きなどにより重要文化財を損壊した場合、５年以下の懲役もしくは禁錮、
または３０万円以下の罰金が科される。軽い気持ちでの行為が、重い代償となるかもしれない。