【イラク情勢】兵力27万人のイラク軍、士気低下し指揮も混乱　将校逃亡、兵士には大義なし [7/11]

かじりむし ★＠＼(^o^)／

イラク軍、士気低下し指揮も混乱
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1101O_R10C14A7000000/
（2014年７月11日付　英フィナンシャル・タイムズ紙）　2014/7/11 14:15 By Sam Jones and Borzou Daragahi

　イラク軍は表面的には中東で最も強力な部類に入る。兵力は27万1000人を超え、
規模でこれを上回るのはエジプトとイランだけだ。
　だが実際には、何カ月にも及ぶイスラム過激派の反乱が示すように、イラク軍
は最も弱い部類に入る。士気が低下し、指揮系統も機能していない。

■逃げた将校
　ルスタミヤ士官学校でのイラク軍幹部の養成は無駄に終わった。先月、過激派
武装組織「イスラム国」が北部の都市モスルに侵攻した際、将校は部隊を見捨て
て逃げた。
　米国や北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）がイラク軍に提供した戦車336台、装甲
兵員輸送車3600台、重砲類1300台などの高機能装備は、「イスラム国」が略奪す
る移動店舗の様相を呈している。
　元英外交官で空軍大尉を務め、イラク軍の設立にあたって同国政府に助言した
アフザル・アシュラフ氏は「イラク軍はパワーポイント兵の集団だ」と指摘する
。アシュラフ氏は現在は英王立防衛安全保障研究所のコンサルタントを務める。
　同氏は「ペトレアス（元イラク駐留米軍司令官）の下でイラク軍を立ち上げた
ときでさえ、担当者は軍の規模について数字やスライド、統計データを示すもの
の、能力については実際には何も示さなかった。戦闘部隊の定量的な尺度は特に
新規部隊の場合、役に立たない」と指摘する。
　イラク軍の大半は首都バグダッド周辺や南部に展開している。第６師団はバグ
ダッド西部を守り、第９師団は東部を担当している。イラク軍は陣地を守ってい
るが、それだけだ。「イスラム国」の手慣れた戦術により、犠牲者は増え続けて
いる。６日には第６師団のナジム・アブドラ司令官が過激派に殺害された。
　バグダッド北部では、ティクリートを守るために配備されたイラク軍が８日、
「イスラム国」のさらなる攻撃を受け、「イスラム国」の別の勢力もバグダッド
北東部のムクダディヤに侵攻し、スドゥルダムを制圧した。このため、サマラと
ティクリートのイラク軍が包囲される恐れが高まっている。
　バグダッド市内でも、治安部隊の規律や雰囲気はほかの地域と変わらない。
　イラク軍が巨大な米国製ピックアップトラックの車列で大通りを移動する光景
がみられる。一部は大口径の銃を備え、正規軍というよりも民兵のようだ。一方、
国営テレビやイラクのマリキ首相の影響下にある放送局「アファク」を通じ、軍
寄りの情報があふれている。

■組織を超越した指揮系統
　米軍事シンクタンクのシニアフェローで、2007年に米軍中将としてイラク軍の
訓練を監督していたジム・デュビック氏は「イラク軍には一定の防衛措置をとる
能力はある。一部地域では反撃する一定の能力はあるが、それを続ける力はない
」と指摘。「だが、『イスラム国』を押し戻し、陣地を奪い返す作戦を計画し、
準備し、実行する能力が全くない」と話した。
　多くの軍事アナリストや軍幹部もデュビック氏と同じ見方を示している。
　数日以内に米国防総省がバグダッドとアルビルに派遣した６つの評価チームが、
イラク軍の配置と能力について報告する。ＮＡＴＯのある軍情報担当者は状況は
「厳しい」だろうと話す。
　デュビック氏は３つの分野でイラク軍の能力が低下していると指摘する。「戦
闘部隊に補給し支援するシステムである情報、兵たん、兵士の管理が弱体化して
いる」と述べた。
　こうした点が影響し、イラク軍の戦闘能力は制約を受けている。だが、さらに
大きな問題は、軍の組織を超越した指揮系統だ。
　トップでは、マリキ氏が個人的に権限を行使する最高司令官室を設置し、従来
の軍の統合参謀の権限を弱めた。この動きはイラク軍の戦略的能力を損ねている。
　すべてのレベルでの司令官人事では、職務遂行能力がないがマリキ氏に忠実な
人物が政治任命されている。
　米軍事顧問増員の有無にかかわらず、こうした問題はすぐには解決しないだろう。
　アシュラフ氏は「士気の低さや規律の乏しさは、実は国民としてのアイデンテ
ィティーとリーダーシップを欠くという病気の症状にすぎない。イラク軍の兵士
には戦う大義がない」と話す。

【イラク情勢】兵力27万人のイラク軍、士気低下し指揮も混乱 将校逃亡、兵士には大義なし [7/11]

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