【社会】床に落ちたクッキーを食べるときの〝３秒ルール〟「大丈夫」「危ない」論争の最終結論 [05/30]

★床に落ちたクッキーを食べて「大丈夫」「危ない」論争の最終結論［間違いだらけの“雑菌知識”］〈週刊新潮〉
Book Cafe 矢来町ぐるり 5月28日(水)11時19分配信

床に落ちた物を食べちゃいけません！――子供を叱る母親の姿をよく見かけるが、落ちた食べ物を口にすると
本当に身体に悪いのだろうか。これまで様々な検証が行われてきたが、果してその結論は？

“3秒ルール”、“5秒ルール”というものがある。床に落とした食べ物は3秒もしくは5秒以内に拾えば、悪い菌は付かない、
という言い伝えだ。科学的とはいえないこの“迷信”は日本だけではなく、広くモンゴル、米国、英国などにも伝わっているという。

その“迷信”の真偽を確かめるべく、検証した学者たちがいる。

「英国と米国の大学の研究室で、落ちたものは食べられるか、という同様な実験をしています」とは徳島大学客員教授の櫻井純氏。

昨年実験を行ったのは、英アストン大学のアンソニー・ヒルトン教授（微生物学)門下生の学生たち。

〈数種類の床、カーペット、リノリウム、タイルなどの上にトースト、パスタ、ビスケット、ベタベタのキャンディーを置き、
大腸菌と黄色ブドウ球菌が移動する様子をモニターしたものだった。それぞれ3秒から30秒食べ物を床に触れさせるようにした〉
（米ナショナルジオグラフィック誌2014年3月10日号）

その結果、
〈食物へのバクテリアの付着する量は、時間が大きな影響を与える。床のタイプも、カーペットが最もバクテリアの移動
が見られなかったが、5秒以上湿り気を帯びた食物を放置した場合、リノリウムとタイルの床の方が付着量が多かった。
ヒルトン教授によれば、“床に落ちた食べ物を摂取する場合には、その時床にどのような菌が存在していたかによるところが
大きいのは間違いない。しかし、研究結果は、長年、与太話とされてきた5秒ルールを遵守してきた人には朗報であり、
屋内の床の場合、カーペットからの付着が少ないという事実を発見した”という〉（同）

つまり、床、特にカーペットの上に落ちた食べ物は食べても害がない、というのが教授の結論である。

■99％大丈夫だが…
一方、07年に同様の実験結果を出しながら、全く逆の結論を導き出した研究チームもある。
米クレムゾン大学のポール・ドーソン教授のグループだ。こちらはサルモネラ菌を使用し、食べ物はソーセージとパンを用意した。
実験結果は、イギリスとほぼ同じだったが、ドーソン教授は、
〈床の種類も接地時間も関係ない。人の具合を悪くするに十分なバクテリアが検知されている。拾って食べることは
シートベルトを締めないで車に乗ることと似ていて、生涯無事故の人もいれば大怪我を負う人もいる。そういうことだ〉
（ナショナルジオグラフィック電子版3月15日）

要するに、万が一の危険を考えれば、落ちた物は食べるな、というのである。

では、どちらの結論が正しいのだろうか。

「結果はかなり一致していますが、結論は全く反対。でも、どちらも正しい」と言うのは先の櫻井氏である。

「つまり、落ちた所にどういう病原菌がどれぐらいいるのかによります。実験のデータとして、大腸菌が数万個移動した
としても99％大丈夫です。日本で一番多い食中毒は腸炎ビブリオによるものですが、健康な人の場合、菌を10億個くらい
体内に入れないと発症しません。サルモネラ菌は生卵などの食品から体内に入りますし、コレラや赤痢は水を介して入ります」

では、拾って食べてもいいのかといえば、
「免疫力の弱い乳幼児や高齢者は場合によっては危ないかもしれません。またノロウイルスなどは数百個でも罹患しますし、
病原性大腸菌O157は1000個ほどで食中毒を起こします。しかし日本の家庭内で、落ちたものを食べても病気になることは
あっても死ぬことはないでしょう」（同）

“3秒ルール”は状況次第ということか。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140528-00010000-shincho-sci