【静岡】大韓航空の運休などソウル線は深刻な状況が続く　観光協会「厳しいからこそ、常にプロモーションを仕掛けていく事が大事」

★＜転機の空港　曲折の５年＞（４）今井利昭県観光協会チーフ（2014/5/18 08:52）

東日本大震災の発生から３カ月が過ぎた２０１１年６月。韓国の旅行市場の動向を調べるために現地へ渡った
県観光協会「しずおかツーリズムコーディネーター」の今井利昭チーフ（７１）は、日本に対する想像以上の拒否感にがくぜんとした。

レンタカー会社や旅行代理店。訪ね回った関係者から異口同音に出てきたのは、
「（福島第１）原発事故は大丈夫なのか？」という不安の声。「どこに行っても、原発事故の話題で持ちきりだった」

鮮明に記憶しているのは、日本国内の状況が正確に伝わっていないことだった。「静岡県は福島県から離れている。
旅行をしても問題ない」。必死に説明したが、理解してもらえなかった。
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震災前、静岡空港は国際線の存在感が高まっていた。特にけん引役となっていたのが、アシアナ航空と大韓航空のソウル線だった。
「エアラインが静岡空港に韓国からの旅行者を誘導する商品づくりを積極的に進めてくれた」。
県や観光協会の利活用促進策もあって「県民もよく韓国へ出掛けていた」。

インバウンド、アウトバウンドのバランスが良く、理想的な路線に育ちつつあった。それだけに、震災と原発事故の
ダメージは大きかった。訪日需要激減の中、「アシアナ、大韓ともに踏ん張ってくれていた」が、領土問題をめぐる
日韓関係の冷え込みが追い打ちをかけた。両社は減便や機材小型化を余儀なくされ、大韓は今年３月末で運休となった。
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震災から３年が経過し、国内線は落ち着きを取り戻した。国際線では上海・武漢線が昨年秋以降、回復の兆しを見せ、
中国東方航空はこの夏のダイヤから週４便運航に戻した。

対照的に、ソウル線は深刻な状況が続く。だが、「厳しいからこそ、常にプロモーションを仕掛けていくことが大事」との思いは変わらない。

観光協会は、韓国で盛り上がっている中高年のウオーキングブームに着目。昨年は静岡空港を使って富士山周辺の
アウトドアスポーツを楽しむツアーを手掛けるなど、新たな切り口による誘客活動にも乗り出した。

「好調な時期と苦しい時期は紙一重。正確な情報を発信し、相手のマーケットの状況を常ににらんで戦略的に取り組むしかない」。
需要回復へは、地道なアプローチの継続が欠かせないと考えている。

<静岡空港の搭乗者数>　開港初年度は国内線と国際線合わせて５２万７８００人、２０１０年度も５５万５４００人で推移した。
だが１１年度は東日本大震災と福島第１原発事故の影響で４１万１８００人に落ち込み、１２年度は４４万６７００人、
１３年度も４５万９０００人と低迷が続く。政治的対立などの問題も抱えるソウル線は１３年度、震災前の５割、
上海・武漢線は７割の水準にとどまっている。県は総合計画で、１７年度までに７０万人へ増やす目標を掲げる。

http://www.at-s.com/news/detail/1041313370.html

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