【ネットと政治】政府批判、ＳＮＳで火消し　世論誘導、権力者の影　政治関連の投稿の３割が同内容　大量投稿に「ボット」が使われた可能性

擬古牛φ ★

★＜ネットと政治＞１　政府批判、ＳＮＳで火消し　世論誘導、権力者の影

03/15 05:00

　２月２０日。安倍晋三首相の側近、世耕弘成自民党参院幹事長が、会員制交流サイト（ＳＮＳ）のツイッターに１件の投稿をした。

　「急速に拡散されている神戸大学岩田（健太郎）先生の動画に対して、経緯をよく知っている専門家がコメントしています」

　「岩田先生」とは、新型コロナウイルスの集団感染があったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」に一時乗船した医師。
船内の感染対策のひどさを告発する動画をインターネット上に投稿して注目を浴び、政府への批判的な世論が一気に膨らんでいた。

　世耕氏の投稿から閲覧できる専門家のコメントは、岩田氏に疑問を呈して反論する内容だった。
投稿が政権批判の火消し役となったのは間違いない。自身は前面に出ず、別の見方もあると伝えることで世論を静めようという巧みな投稿だ。

　投稿はどれだけ拡散したのか。分析ツールによるとまず２７万人超の世耕氏のフォロワー（閲覧者）に配信され、
延べ１万人が自身のツイッターにリツイート（転載）。閲覧者の重複も多いので実数ではないが、転載が転載を呼び、延べ５０８３万人に広がっていた。

　安倍長期政権の世論対策を担ってきた世耕氏。ただ世論のコントロールを狙ったかのような発信をするのは、彼だけではなかった。

■大量自動投稿、検索順位操作か

　会員制交流サイト（ＳＮＳ）の分析ツールで分かったのは、ツイッターの投稿を爆発的に広げるのは１人だけの力ではないことだ。
自民党の世耕弘成参院幹事長の場合、最初の投稿から約６時間後にリツイート（転載）してくれた９８２人目の存在が大きかった。

■６０万人に拡散

　ＳＮＳ上で影響力のある「インフルエンサー」として知られる美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長。
保守的な主張を繰り返し、賛否両派から注目を集める。高須氏のツイッターへの転載により、約６０万人に上るフォロワー（閲覧者）に一気に拡散された。

　政治も、世論も、ネットを通じて影響し合う。だからこそ、背後にある意図に敏感になる。２月下旬には、ツイッター上でこんな投稿が話題になった。

　「よく考えたらコロナウイルスかかってる人あんまりいないよね笑　噂（うわさ）の力ってすごい」

　顔文字を交えたこの投稿は、２３～２４日にかけて爆発的に拡散された。
ネット上では「状況がそれほど深刻でないと訴えたい政府側の工作では」との臆測が流れた。
国民民主党の原口一博国対委員長は「こうやって『悪質広告代理店内閣』は、世論操縦をしていくのですね」と投稿した。しかし、実際は分からない。

　最初に始めたのは、政権の関係者や支持者か、批判が政権に向くことを狙った反対勢力の自作自演か、愉快犯的な第三者か。
すでにほとんどの投稿は凍結されたか削除され、真実を見極めるのは困難だ。

　この大量投稿を巡り「ボット」が使われた可能性を指摘する専門家もいる。
ボットとは「ロボット」が語源で、自動で投稿や返信をするプログラムだ。
特定の時間に自動投稿したり、キーワードに反応して返信やリツイートするものもある。
それ自体は違法ではないが影響力は大きく既に世論操作に使われた例がある。

　米国の民間研究組織である全米経済研究所（ＮＢＥＲ）は、２０１６年に行われた英国のＥＵ離脱を巡る国民投票で、
ボットによる投稿が離脱賛成派を１・７６ポイント押し上げたとの分析結果をまとめている。（続く）

道新WEB https://www.hokkaido-np.co.jp/sp/article/402497

続きは>>2-4

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