小・中学校のちょっとエッチな淡い思い出

大人になった名無しさん

中１の夏休みにクラスの班で地域の特産品を調べて報告する課題が出ていた。
取材のために５人のメンバーで出かけたが、当時の国鉄の電車に乗って遠足
気分だった。男子３名、女子名だった。

帰りに俺の隣に座ったＭが眠り始め、遂には俺の肩に頭を乗せてぐっすり。
しかも右腕にはＭの胸があたり、俺はドキドキ。他のメンバーがニヤニヤし
ていたが、俺は動くわけにはいかず、そのまま３０分が過ぎた。
駅について他のメンバーから事実を聞かされたＭは真っ赤になっていた。そ
して俺の顔を見るなり、一度俯いたが、顔を上げるとニコッと笑った。
それをきっかけにして俺はＭを意識し始めたが、当時はつきあうとか、カッ
プルという方向には進まなかった。

その翌年のクラス替えでＭとは別のクラスになった。
２学期から校舎の移転で、俺とＭは通学路が一緒になり、もともと仲が良か
ったこともあって、なんとなく朝の通学を二人でするようになった。そうい
う男女は当時はいなかったので、今から考えれば異色だったのだろう。
それでも俺とＭはお互いにカップルだという意識はなかった。放課後に一緒
に帰ることはあってもデートするようなことはなかったし、休日に顔を合わ
せることもなかった。

中３の夏に近所の神社の夏祭りでばったりＭと出会った。浴衣姿のＭは色気
があった。細身でキリッとした顔立ち、口元のほくろが可愛かった。その時
に俺はＭとカップルになりたい！と強烈に思った。
Ｍは妹と一緒だったが、妹も他の友達と会ったために、妹とは別れて俺と祭
の会場を歩いた。同じ中学校の友人達とたくさん会ったが、何も言われなか
った。俺とＭはカップルというより性別を超えた友人のように認識されてい
たからだろう。それで俺は黙ってＭに手を差し出した。Ｍは何も言わずに、
自然な感じで俺と手をつないだ。その状態でも友人と出会った。流石に「え
っ！」という表情になった。その時、Ｍが俺を見上げてニコッと笑った。
その後に登下校時も手をつなぐようになった。担任からは「おまえ、色気づ
いて大丈夫か？」と進学を心配された。というのは俺は数少ない難関校受験
生だったからだ。

卒業まで二人で手をつないで登下校したものの、デートらしいデートはしな
かった。恥かしくて「好き」とも言えなかった。
これが俺にとってはエッチな淡い思い出だ。

高校に進学してから１年も経って漸く「好き」をお互いに言えたし、その後
は淡い思い出ではなく、結構生々しい思い出になるので、ここまでにする。