日本と法華経

K.I

妙法蓮華経（ミョウホウレンゲキョウ）＝法華経（ホケキョウ）
日本ではじめて法華経を理解し紹介したのは7世紀初めの厩戸王（後に聖徳太子と呼ばれた）。
厩戸王が著した我が国最古の肉筆の書物『法華義疏』は皇室の御物となっている。

7世紀初め、日本人が初めて理解した経典が法華経（ホケキョウ）であり、
万鳥の中で最も美しい鳴き声を誇るウグイスの声はホケキョウとされた。

平安時代初期には最澄が法華経に基づいて天台宗（天台法華宗）を開き、
鎌倉時代には日蓮が法華経に基づき日蓮宗（日蓮法華宗）を開く。
その後も法華経は他の経典をしのぎ日本人の心を支配し続ける。
明治時代以後も、法華経は愛国者の仏教とされ、
北一輝、井上日召、石原莞爾らを代表とする戦前の右翼思想家・右翼政治運動家もこぞって法華経を信仰した。
一方で彼ら右翼思想家は、ソ連コミンテルンをすら抹殺すべき穏健保守（アカ）と批判するほどの過激な共産主義革命論者（私有財産制廃止論者）でもあった。

振り返ると、日本で初めて法華経の注釈書を著した厩戸王は、私有財産制を強制的に廃止した古代律令制（天皇制）を実現した7世紀後半の大化の改新の精神的指導者として祭り上げられた存在だった。