【石川】コウバコ高騰１匹３千円超　県産不漁

首都圏の虎 ★

石川県産ズワイガニの雌、コウバコガニが今年、異例の高値となっている。海がしけて出漁できない日が多く、１隻当たりの水揚げ量も少ないためだ。金沢市の近江町市場では例年は高くても１匹２千円程度だが、３千円を超える値札も並ぶ。コウバコガニの漁期は資源保護のため２９日までと短く、買い物客からは「今年は手を出せない」と嘆く声が聞かれる。

　「異常なくらいおらん」。加賀市の橋立漁港では１１月６日の解禁から不漁が続く。橋立底曳網船長会によると、今年のコウバコガニの水揚げ量は昨年の半分で、２年前と比較すると１０分の１以下まで落ち込んでいる。遠塚谷（とおづかや）透会長（５３）は「出漁１回当たりの漁獲量が早い段階から少ない」と頭を抱える。不漁の原因については「見当もつかん。自然の摂理かな」と分からずじまいだ。

　県水産総合センター（能登町）によると、漁解禁から１１月２４日までの県内の水揚げ量は、雄の加能ガニが過去５年平均（同期）に比べて２１％減の５８・１トンに対し、コウバコガニは４４％減の５５・１トン。１隻当たりの水揚げ量をみると、加能ガニは過去５年平均を２３％上回っているが、コウバコガニは１３％減少している。

　２０００年以降の統計では最少だった昨年が１０５トンで、ピークだった０７年の２５９トンから半分以下に落ち込んだ。今年はさらに厳しくなっている。

　不漁は家庭の食卓にも影響が出ている。近江町市場のヤマカ水産では今年、小さいサイズでも例年の３倍近い値が付いており、従業員の野田友治さんは「従来の最上級ランクが、今年は１番下の価格になっている」と語った。

　大口水産では大きなサイズは例年の１５００円増しとなる３５００円ほどで販売されている。出費を抑えようと、価格が安定している鳥取など他県産を求める客が多いという。荒木優専務は「昔は小さいもんまで取っとったし、取りすぎの影響もあると思う。漁期をもう少し短くすることが必要かもしれない」と話す。

　金沢おでん名物の「かに面（めん）」もこの冬は高く、金沢市の「おでんよし坊」では３割高い価格で注文を受けている。

　近江町市場を訪れた野崎芳則さん（７４）＝金沢市高畠１丁目＝は「地元産は高くてなかなか手が出ない。かつては庶民がおやつ代わりに食べていたのに」と残念がった。

2019/12/19 01:29 　北國新聞
https://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20191219101.htm

【石川】コウバコ高騰１匹３千円超 県産不漁

【石川】コウバコ高騰１匹３千円超　県産不漁