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【政治】「限定された集団的自衛権」では禍根を残す 日本は卑怯者?国際常識に反する奇妙な概念

1 :くだんφ ★:2014/05/22(木) 12:35:33.85 ID:???
安倍晋三首相が集団的自衛権行使の禁止を是正する方向性を強い決意を持って明言したことは、
以前よりこの方針を支持していたオバマ政権やアメリカの保守派を中心に歓迎して受け止められて
いるようである。

 もっとも、安倍首相の強い決意は表明されたものの、それが日本の国策として決定されたわけでは
ないため、アメリカの主要メディアの取り扱いはそれほど大々的ではない。アメリカでこの問題に
関して詳細にわたって説明を加えているのは、主として日本メディアの英字紙、中国メディアの
英字紙、中国系英字紙といったところである。

日本の“普通の国”への脱皮を期待するアメリカ

 アメリカでは、たとえ中国はじめ東アジア軍事戦略に関与している軍関係者や研究者といえども、
日本の憲法問題や日本が集団的自衛権行使を禁止しているといった事情に深い関心を持っている人々は
少数である。したがって、5月15日の安倍首相の会見がアメリカで取り沙汰される場合でも、極めて
単純に「これまで、日本は集団的自衛権の行使を禁止してきたが、安倍首相は日米同盟を強化する
ために、集団的自衛権を行使できるように政策転換をする」といったように簡潔に紹介されるにすぎない。

 中には一歩踏み込んで、安倍首相の打ち出している方針に賛同する内容のコメントも散見される。
例えば、以下のような具合である。

 「このような方向性はアメリカにとっては歓迎すべきであり、今まで解除していなかったのが
遅いくらいである」

 「他国の軍隊がしばしば実施しているような海外での軍事作戦に自衛隊が参加して、手に手を
取り合って国際貢献をすることによって、日本に降りかかっているかつての“軍国主義時代の悪魔”
といったイメージから堂々と脱却できるようになるのではないだろうか?」

>>2に続く

ソース   JB PRESS 2014.05.22
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40727
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40727?page=2
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40727?page=3
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40727?page=4
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40727?page=5

2 :くだんφ ★:2014/05/22(木) 12:35:41.77 ID:???
>>1の続き

 「日本が国際社会では軍事的に“普通の国”になることによって、自衛隊自身もより活動しやすく
なるし、日本がより積極的に国際平和維持に貢献できるようになるであろう」

 このように日本が集団的自衛権を行使できる“普通の国”になることに賛同する意見は、現在の
厳しいアメリカ国防状況では極めて当然と言える。なぜならば、オバマ政権は一方で大幅な国防費
削減を実施しながら、一方で「アジア重視」を明言しているからである。

 軍事力全体は削減するがアジア方面への軍事的関与は強化する、というアメリカ政府の方針は
「ヨーロッパ・大西洋方面の軍事力をアジア・太平洋方面に振り向けることにより実施される」
と日本では理解されているようである。しかし前代未聞の大幅な軍事費削減状況下では、
「ヨーロッパ・大西洋方面では大削減を実施し、アジア・太平洋方面ではできれば現状維持を目指す」
というのが実情である。

 そのためにアメリカ軍事政策担当者たちが打ち出している基本方針の1つは、同盟関係の質的変化
である。つまり、アメリカの軍事同盟関係は、かつてのように「“親分”であるアメリカが“子分”
である同盟国の面倒を手厚く見てやり脅威に対抗する」構図ではなく、「“兄貴分”である
アメリカが“弟分”である同盟国にも一定の努力を要求しつつ、共同で脅威に対抗する」構図に
移行している(なんでも世界一に固執し続けているアメリカとしては、いまだに軍事的に対等な
同盟国は認めたくない)。

 もちろん、“弟分”たり得ない貧弱な軍事能力しか持たない同盟国や友好国に対しては話は別
であるが、訓練が行き届いた軍隊と立派な兵器で武装している日本には、アメリカとしてはまさに
“弟分”としての自覚を持ってほしいのである。したがって、日本の事情を“少々”知るアメリカの
軍事関係者たちにとって、「日本の足かせ」と映っていた集団的自衛権行使禁止を解禁することは、
まさに願ったり叶ったりの方針なのである。

集団的自衛権発動によりグレナダに侵攻したアメリカ軍(写真:米国防総省)
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/5/4/400/img_5492cc1fd65290f65cad919ce823bcae260537.jpg

>>3に続く

3 :くだんφ ★:2014/05/22(木) 12:35:58.90 ID:???
>>2の続き

ケーススタディの誤謬

 しかし、安倍首相の決意表明を歓迎する人々といえども、安倍首相が解禁しようとしている
「集団的自衛権」が、実は国際常識的理解による集団的自衛権とは異質であることを明確に意識
している人は少ない。

 安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)の報告書は、集団的自衛権に関する
概念的解説とともに、より具体的なイメージを通しての議論のために6つの想定事例に基づいた
ケーススタディを提示している。

 残念ながら、これらの具体的な想定事例による説明の多くは、むやみにケーススタディを用いると
思考や理解が例示されたケースに拘束されてしまいかねないという「ケーススタディの誤謬」を
犯してしまっている。

 さらに悪いことには、安倍首相自身の会見では、それらのケーススタディの中からさらに2つの
想定事例をピックアップして、パネルまで使って説明しようと試みた。これによって“ケーススタディ
の誤謬”が2乗されてしまった。

 それだけでなく、首相が熱意を持って例示した「危険な地域でアメリカ軍が救出して搬送中の
日本人も乗り込んでいる米輸送艦が攻撃を受けた場合、現在の憲法解釈では自衛隊は米艦船を敵から
防御することができないため、集団的自衛権を行使できるように憲法解釈を変更する必要がある」
というケーススタディは、残念ながら内容的にも妥当性を欠く。そのため、首相の方針に反対する
勢力にとっては重箱の隅をつつくような攻撃材料を提供してしまい、“ケーススタディの誤謬”が
3乗されてしまったのである。

自国民の救出は国家の最低限の責務

 本コラムでは、非建設的な重箱の隅をつつくような批判は避けたいが、「邦人輸送中の米輸送艦
の防護」では、各種軍事作戦でも困難度が高い作戦の1つである「非戦闘員救出作戦(NEO)」
そのものは当然のごとくアメリカ軍が実施し、たとえ日本人であってもアメリカ軍のNEOによって
戦闘地域あるいは危険性の高い混乱地域から救出され、アメリカ海軍輸送艦で日本に向けて搬送
されることが大前提となっている。

NEOでアルバニアからアメリカ市民を救出するアメリカ海兵隊(写真:米海軍)
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/6/0/270/img_60e537bbd3c46b5f4e299430ecddb417342332.jpg

>>4に続く

4 :くだんφ ★:2014/05/22(木) 12:36:29.25 ID:???
>>3の続き

 これでは、せっかくアメリカ海軍輸送艦を海自戦闘艦で防護するために憲法解釈を変更しても、
結局これまで通り、肝心要のNEOはアメリカ軍に頼り切るという方針はそのままになってしまっている。

 アメリカ軍によるNEOで在外邦人が優先的には救出されないといった細かい事情はさておいても、
場合によっては戦闘を交えても自国民を危険地帯から救出することは、国家として最低限の責務
の1つであり、自主防衛能力の主たる要素の1つである。形而上学的な集団的自衛権論争以前に解決
すべき問題と言えよう。

ポジティブリスト方式では将来に禍根を残す

 当然のことながら安保法制懇の報告書には、「ケーススタディはあくまで具体的議論のためのもの
であり、集団的自衛権の行使はそれらに限定されているわけではない」といった前提が明示されている。
同様に安倍首相としても、集団的自衛権が行使できるようにしておくことが必要な理由を分かりやすく
(と首相は考えている)説明するための例として2つのケースを持ち出したわけである。

 しかしながら、そのような想定事例をことさら持ち出したのは、「国際的スタンダードとしての
集団的自衛権の行使」を正面から説明して理解を求めたのでは反対陣営の猛烈な反駁に抗しきれないと
考えたからであると推察できる。

 そこで、少なくとも一般の世論の説得は可能と思われるような、「国際的スタンダードとしての
集団的自衛権の行使」に数々の本質的制限を加えた“限定された集団的自衛権”という奇妙奇天烈な
概念を生み出した。そして、“限定された集団的自衛権”に該当する軍事行動だけを容認することに
よって、内容はともあれ「日本も“集団的自衛権”の行使ができるようになり、場合によっては
アメリカを軍事的にサポートできるようになった」との外見をつくり出し、アメリカの歓心を得て
日米同盟を少しでも強化しようとしている。

 しかしながら集団的自衛権の行使に関しては、軍事行動である以上、「前もってどのような場合に
どのような活動だけが実施できる」と決めておくこと(ポジティブリスト方式)は国際常識に反する。
集団的自衛権に限らずあらゆる軍事行動は、「前もってどのような場合にどのような活動だけが
禁止される」と決めておくこと(ネガティブリスト方式)が国際常識である。

>>5に続く

集団的自衛権発動によりアフガニスタンに展開するポーランド軍(写真:ポーランド国防省)
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/2/f/400/img_2ffd361b9c7a748a6aad78a58078635883043.jpg

5 :くだんφ ★:2014/05/22(木) 12:36:43.97 ID:???
>>4の続き

 ところが、正面切っての議論では「国際的スタンダードとしての集団的自衛権の行使」を
認めさせることはできないであろうとの政治的判断により、捻じ曲げられた形でのポジティブリスト
方式により考え出された“限定された集団的自衛権”を集団的自衛権に仕立て上げようとしている。
これでは、たとえ“限定された集団的自衛権”の行使が解禁されたとしても、将来に禍根を残す
こととなりかねない。

重箱の隅をつつくような議論は無益

 日本もいよいよ集団的自衛権の行使を解禁したと伝え聞いた米国をはじめとする諸外国では、
日本政府の言う集団的自衛権とは、実はおかしなポジティブリスト的発想の“限定された集団的自衛権”
であることなど、もちろん理解しがたい。

 したがって、アメリカ政府が、国際常識に則した集団的自衛権の発動を日本に期待したとしても、
結局日本は“限定された集団的自衛権”に縛られてしまい、実際には軍事的支援を差し出すことなど
できない事態に直面しかねない(おそらく、そのようなケースの方が普通)。したがって、同盟国
アメリカから見ると「日本は何だかんだと理由をつけて期待には応えてくれない卑怯者」という
ことになってしまう。

 これでは、日米同盟の強化のためにひねり出した“限定された集団的自衛権”が、逆効果に
なりかねない。それとも、そのような事態に直面したならば、急遽ポジティブリストに新たな
項目を加えて自衛隊を戦地に送り出してしまえばいい、という柔軟性を“限定された集団的自衛権”
は持たされているのであろうか?

 せっかく、集団的自衛権の行使に関する議論をするからには、もともと“ケーススタディの誤謬”
を犯してしまっている想定事例について、重箱の隅をつつくような議論に終始するのではなく、
軍事行動の本質からの議論を活性化しなければならない。

以上

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