【まちおこし】柴犬「ルーツの里」が島根に…聖地化へ動き出す

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柴しば犬のルーツとされる石州せきしゅう犬「石いし号」を生んだ島根県益田市美都町二川ふたかわ地区で、住民らが説明看板を設置するなど、「柴犬の聖地　石号の里」づくりに動き出した。

　石州犬は、地方の名前を冠した日本犬の一つ。石州犬研究室（江津市）を主宰する河部真弓さん（６０）によると、石号は１９３０年に二川村（現・益田市美都町）で生まれ、猟犬として飼われていた。その後、東京に買われていき、日本古来の犬の保存を目指す「日本犬保存会」が石号の血統を登録。子孫の評価は高く、血を引く柴犬が全国に広まり、石号は「柴犬の祖」といわれるようになった。

　しかし、石号が飼われていた家は空き家になっており、地元では石号の存在はほとんど知られていなかった。二川公民館は、郷土の宝・石号を多くの人に知ってほしいと９月上旬、河部さんを招いて石州犬や石号の歴史などを学ぶ講演会を開催。河部さんは、石号がかつて益田市美都町板井川（二川地区）にいたことを紹介し、貴重な犬であることを強調した。

　その後、二川自治会や公民館のメンバーらは、海外でも人気の柴犬の「発祥の地」を、地域振興に生かそうと動き出した。

　まず、住民らでつくる地域自治組織「ぬくもりの里二川」が同２１日、同町板井川にある石号の〈生家〉近くの道路端に、「柴犬の聖地　石号の里」と紹介する看板を設置した。

　地元の道の駅「サンエイト美都」でも、地区を紹介するイラストマップに「柴犬の聖地　石号の里」を新たに加え、配布を始めた。

　地元の郷土史の研究会も、柴犬を研究テーマの一つとして取り上げる計画という。

　二川公民館の小原美智子館長（７１）は「二川地区が石号の古里であることは地元でも知られていないが、郷土の宝としてＰＲし、観光スポットにしたい」と話していた。

　石州犬は戦中、戦後の食糧難や雑種化などで昭和２０年代には途絶え、３０年代には復活の動きもあったが、取り組みは広がらなかったという。（立山光一郎）

https://www.yomiuri.co.jp/national/20181007-OYT1T50012.html